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2019年12月

ホタル通信 No.418

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.565 酔った勢いで
実話度:★☆☆☆☆(20%)
語り手:男性

言葉を選んで都合良く言えば、大人感が漂う“ムーディ”な小説ですね。こんな小説作っていることをすっかり忘れていました。

さて、まずは実話度からです。
実話度20%にした通り、ほぼ創作と言えますが、所々に事実が散りばめられています。
代表的な部分では「酔った者同士が、それぞれの勢いで」でしょうか・・・。直後に「行ったのは確かだけど」とセリフがありますがあくまでも“彼女の家”に行った設定にしてあります。
事実は、彼女の家に行ったのは間違いありませんが、中に入らず、彼女を送り届けると帰路につきました。
ただ、帰路につく際、電話番号を交換し、それから付き合いが始まりました。これに関しては小説の中では触れていません。

そんなこんなな過去を小説では、同僚の女性と会話している設定にしていますが、実はこの展開も前述した酔っていた彼女・・・後に付き合うことになった女性のことなんです。
話がややこしくなりますが、前半は同僚ではなく、その彼女のこととして、置き換えて読んでいただくのもおもしろいかもしれませんね。
ただ、残念ながら、後半の半分を過ぎたところからの展開が作者である私にもピンときません。
多分、“昔の彼女の家から朝帰りしたパターンをまた繰り返してしまった”のような展開だと思いますが、流行の言葉を借りれば冬のホタルでは珍しい“セクシー”な小説と言えますね。
T418 
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[No.956-2]大掃除

No.956-2

「なかなかいいんじゃない?」
「じゃ、開けるね」

おもむろに箱から中身を取り出す。

「おっ!色は俺好みだよ」

とは言え、大きさが重要だ。

「どう?」

彼女がそれを手渡す。
大きさといい、質感も悪くない。

「これ・・・すごくいいよ!」
「そう!それは良かった!」

丁度いい小物入れがなくて困っていた。
これなら今使っているカバンにもジャストフィットする。

「よく見つけたな」
「まだ、こんなに残っているのに」

この山の中から選ぶとは、彼女の目利きも大したものだ。

(目利き・・・ん?)

「これ・・・さぁ・・・選んだのは偶然?」

あくまでも“外箱”の大きさだけで彼女はこれを手にした。
もちろん、中身を知るはずもない。
だからこその“目利き”なのかもしれないが・・・。

「き、決まってるじゃない!」
「何だよ、動揺してないか?」

大きさといい、色といい・・・それに質感まで・・・。
俺の好みを全て兼ね備えている。

「別にぃ!まぁ、いいじゃない!」
「後は私が片付けておくから、これでおしまい!」
S956
(No.956完)
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[No.956-1]大掃除

No.956-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「これはどう?」
「・・・要らない」

さっきは大きすぎた。
今回は逆に小さすぎる。

「もぉ!贅沢ね」

年末を控えて大掃除を手伝うはめになった。
ただ、そんな時によくある光景が今の俺たちだ。

「これブランド物なのよ!?」
「それくらい分かってるよ」

ポーチ類が入っているという箱が山積みになっている。
化粧品を買った時に貰ったものがほとんどらしい。

「なんでこんな変わった形してるんだよ」
「さっきはさっきで・・・」

スパンコールが目に痛いほどの派手な一品だった。

「そう?」
「そうだよ!」

小物入れが欲しかっただけに、渡りに船だと考えていた。
けど、“これ!”といったものが見つからない。

「確かに変わった形はしてるけど」
「ほら見て・・・ピッタリでしょ?」

化粧品を入れて見せる。
言う通り、収まりがいい・・・というより、それ目的だろう。

「サイズはこれくらいでさぁ・・・」

ひとつひとつ品定めしていると来年になってしまう。
とりあえず、箱の大きさからめぼしを付けてもらうことにした。

「それじゃ・・・これなんてどう?」

箱的には良さそうな大きさだ。
問題はその中身だ。

(No.956-2へ続く)

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[No.955-2]長い呪縛

No.955-2

「正解は・・・さつまいもの茎」

友人が“ポカン”とした顔をしている。

「イメージはできるでしょ?」

小学生の時、授業で芋掘り体験があった。
私たちの学校では・・・ということになるが。

「そりゃ、私たちの学校でもあったからね」
「でも・・・食べれるんだ、アレ?」

実家の畑でさつまいもを育てていた。
畑と言っても借り物の小さな畑だった。

「子供の頃はさぁ・・・なんていうか・・・」

それが“貧乏くさく”見えた。
私には雑草としてしか見えなかったからだ。

「食べると美味しいんだけどね」

だから、友達も話さなかった。
どこかに恥ずかしい気持ちもあったからだ。

「先週、実家に帰ったら・・・」

料理としてではなく、酒の“アテ”として母が作ってくれた。

「なんか、一味も二味も美味しくて」
「大人になったね」

小さくうなづいた。

「それで、長年の疑問が気になって」
「ネットで調べてみたら・・・」

自分だけじゃなかったんだと初めて知った。

「みんな普通に食べてるんだもん!」
S955
(No.955完)
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[No.955-1]長い呪縛

No.955-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「そうなんだぁ!」

大袈裟だけど長い呪縛から解き放たれた気分だった。

「これ何の料理か分かる?」

昨日、食べた料理の写真を見せた。

「その前に・・・“映え”ないね」
「そりゃそうでしょ!?」

“映え”を目的にしていないから当然だ。
純粋に食べた料理を見せたかっただけだ。

「もぉ・・・何でも“映え”を気にするんだから」

とは言うものの、いつもなら自分もそうだ。
ただ、今回は違う。

「とりあえず、煮物だよね?」
「そうよ」

話を戻せば確かに“映え”ない。
至って地味な茶系の絵面だ。

「“何の煮物か”ってことね?」
「もちろん!」

惣菜として売っていてもおかしくはない。
けど、少なくてもスーパーで見かけたことはない。
見かけるのは“実”の方だ。

「う~ん・・・」

友人が頭を抱える。
見た目からすると、アレに近い。

「山菜?」
「フキにしては細すぎるし・・・」

予想通りの展開だ。

(No.955-2へ続く)

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ホタル通信 No.417

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.555 少し照れながら
実話度:☆☆☆☆☆(00%)
語り手:女性

タイトルだけで内容が思い出せるもの、逆にタイトルだけでは思い出せないもの・・・今回の小説は後者になります。

実話度はゼロですが、もちろんきっかけはあります。ただ、あると言いながらも全くそれを思い出すことができません。話の内容からすれば、ドラマのワンシーンのような空気感がありますね。
さて、手法としては前半、何が行われているか隠しながら、後半に入っていくパターンです。
とは言え、後半になってもオブラートに包まれたような感じで話が展開していきます。

タネあかし・・・というほど大袈裟なものではありませんが、相手の人、どうして“しゃがみ込んでいた”のか、分かりますか?
そうです、花の写真を撮っていたわけです。
あえて直接的な“写真”や“撮る”といった言葉を使わず、雰囲気だけでそれを伝えようと考えました。
「そう言うと手に持っていたそれを、軽く私に向けた」の部分が一番、カメラを意識させるシーンだと思います。

最後のシーンは読み直してみると、最初は自分でも?だったのですが、ようやく意味が分かりました。つまり、相手の方に頼まれて早い話、モデルを務めたわけです。
ただ、手だけが花に写り込むようにしたのか、全身だったのかは作者も決め兼ねていますが、タイトルからすれば後者だったのだろうと結論を付けています。
T417
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[No.954-2]上から目線

No.954-2

「あなた、そんな“ちっちゃい”人だった!?」
「それは身長、それとも心?」

嫌味っぽく返した。

「もちろん、後者よ」
「逆に笑ってるネコなんて見たことがないよ」

冷静に切り返されると言い返せない。

「ネコって基本、こんな顔よ」
「そ、そうかな・・・」

ただ、どうしても上から見られていることが気になる。
用事があるなら“降りて来い!”と言いたい。

「そう言わずに歩み寄ってみたら?」
「向こうが興味を持っているかもしれないわよ」

確かに目が合うのは興味がある印かもしれない。

「まぁ、そこまで言うなら・・・」
「じゃあ、明日いい写真を期待してるわよ!」
 
(なによ・・・)

しばらく睨み合いが続いた。

「・・・ほら、やっぱ・・・」

そう諦めかけた時、そいつが屋根から降りてきた。

「えっ!なんだぁ、もぉ!」

手を差し伸べてそいつを迎える。
けど、その手をすり抜けて、草むらへ消えて行った。

「まったく・・・でもいい一枚が撮れたわ」
S954
(No.954完)
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[No.954-1]上から目線

No.954-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「なによ・・・」

どう見ても上から目線のふてぶてしい態度だ。

「ちょっとこれ、見てくれる!?」
「あら、かわいいネコじゃない!」

友達には“そう”見えるらしい。

「よく見てよ」
「・・・よく見てもかわいいじゃん」

ネコ好きに見せたのは間違いだったかもしれない。
何を見せてもこうなる可能性がある。

「もぉ!ほら、こいつさぁ・・・」

通学中にそのネコと出会う。
いつも、平屋の屋根に座っている。
そして・・・写真のように人を見下している。

「見下してる?」
「私にはそうは見えないけどなぁ」

私よりも高い位置に居るせいもあり、余計にそう感じる。
それ以前に・・・この表情だ。

「憎らしい表情、してない?」
「ネコに恨みでも?」

別に、過去も含めて何かあったわけじゃない。
朝から、高い所から睨まれているようで気分が悪いだけだ。

(No.954-2へ続く)

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[No.953-2]禁断の果実

No.953-2

「そんなこと言ったら俺だって・・・」

確かに彼は彼でそれを口にした。
彼のせいにするとすれば・・・。
私の告白を断ればそれで済んだ話だ。

「でも、どうして?」
「仕方ないだろ、タイプだったんだから」

よく考えれば、初めて聞いたセリフだ。
当時はそんな余裕もなく付き合ったからだ。
もちろん、後ろめたさが大きな理由だった。

「じゃ、君はどうして?」
「俺らが付き合っていたことを知ってたんだろ?」

理由は・・・正直分からない。
ずるいけど、若さゆえの行動だった。

「・・・行動が先に」
「今じゃ、考えられないけどね」

親友との関係がどうなるかなんて考えてもみなかった。
結局、関係がバレて、親友とはそれっきりになった。

「だから、上手くいかなったのかな、私たち」
「・・・かもな」

私たちは1年を待たずに別れた。
どこかに罪の意識があったのかもしれない、お互いに。

「じゃ、そろそろ行こうか?」
「・・・うん」

今日、親友も来ている。
これが“計らい”の本当の目的だった。
S953
(No.953完)
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[No.953-1]禁断の果実

No.953-1

登場人物
女性=牽引役  男性=相手
-----------------------------
「久しぶりだね」
「・・・だな」

高校時代に付き合って彼と5年ぶりに再会した。
共通の友人の“計らい”だった。

「別に避けていたわけじゃないぞ」
「それを言うなら私もそうよ」

だからと言って寄りを戻すための“計らい”ではない。
ちょっとした同窓会のようなものだ。

「・・・で、彼女とは?」
「今でも仲直りできてない」

当時、彼と先に付き合ったのは彼女の方だった。
その彼女とは・・・私の親友だ。

「まぁ・・・そうなるよな」

彼に恋心を抱いていたのは私も同じだった。
電車の中で彼を見ていたのは親友だけじゃない。
けど、先に親友から相談を受けてしまった。

「うん・・・謝る勇気もなくて・・・」
「私が悪いのに」

ある日、その共通の友達を通じて親友が告白した。
彼もそれにOKした。

「けど、びっくりしたよ」

それを知った私は、直接彼にアプローチした。
この段階で私は禁断の果実を手にしたことになる。

(No.953-2へ続く)

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ホタル通信 No.416

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.573 祝電
実話度:★★★★★(100%)
語り手:男性

多少、脚色している部分はありますが、ほぼ100%の実話です。特に祝電の部分は原文のままです。

100%実話なので、人間関係は詳細に書けませんが、小説上の私(男性)か、教え子(女子)のどちらかが作者です。
100%なので読んでいただいた通りの内容です。脚色と言っても私と、私と会話している相手の部分だけ小説の展開上、付け足しています。

当時、教育係・・・つまり、“先生”というポジションにいたため、必然的に新入社員と交流が生まれます。
ただ、新入社員も年度ごとに色があり、交流が深まることもあれば、イマイチなこともあります。
彼女が入社した年は、女子社員が多く居たため、彼女たちに“巻き込まれてしまった”感で交流が深まりました。
言わば先生と生徒の関係で、歳もそれなりに離れていましたからある意味、親と娘・・・のような関係でもあったと言えます。

そんな彼女や彼女たちも、すでに自分の人生を歩んでいます。
特に小説の主人公とも言える“教え子”は、今でも元気に働いています。
T416
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[No.952-2]光になりたい

No.952-2

「・・・足りない?」
「そや、足りない」

何が足りないと言うのだろうか?
もしかして・・・。

「中身ってこと?」
「ん!?そやなぁ・・・!」

自分自身でも気付いていなかったみたいだ。
その足りない何かを。

「まぁ、確かに・・・」
「何かを入れることはできるけどな」

ランタンとは言え、小物入れとしても使える。
光に照らされて幻想的な雰囲気も作り出せそうだ。

「何かないかな?」
「あるやろ、ピッタリなやつが!」

さっきとは打って変わって積極的になっている。
・・・ということはアレ、いや・・・あいつしかいない。

「せいじゅうろう?」
「決まってるやろ!」

そう言うと、ガサゴトと引き出しを物色し始めた。

「・・・ほら!ちょうどええやつがおったやん!」
「なるほど!」

ビンの中で、せいじゅうろうが光る。
今、ようやく長年の夢が叶った気分だった。
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(No.952完)
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[No.952-1]光になりたい

No.952-1     [No.07-1]せいじゅうろう

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
知り合いから、ちょっと変わった品をいただいた。

「へぇ~なるほど!」

簡単に言えば、光エネルギーを利用したエコなランタンだ。

「これ、どう?」

翌日、さっそく、菜緒(なお)に見せた。
どんな反応をするか楽しみだった。
人一倍、この手の物に反応を示すからだ。

「・・・」
「えっ・・・何もなしかよ?」

想定外の反応だった。
全くと言っていいほどの無反応ぶりだ。

「・・・何か足りないね」
「標準語ぉ!?」

神妙な表情よりも言葉遣いが気になった。
もしかして、初めて聞く標準語かもしれない。

「なに驚いてんねん!」
「そりゃ、驚くよ・・・」

ただ、少し話が逸れてきた。
早めに本題に戻さないと・・・。

「だから、どう、これ?」
「だ・か・ら、何か足りないねん・・・」

ある意味、よくやく落ち着いて話せそうだ。

(No.952-2へ続く)

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[No.951-2]憩いの場所

No.951-2

「喫茶店は喫茶店なんだけど・・・」

よく見掛けるチェーン店のカフェになっていた。

「そうなんだ・・・想い出の場所だったのにね」

高校の時、初めて女性と付き合った。
その時の初デートの場所だった。

「帰る場所を失った・・・そんな気分だったよ」

他にも馴染みだった店を訪ねてみた。
でも、その店もなくなっていた。

「友達と学校帰りによく立ち寄ったな」

地元以外でもそこそこ有名な模型店だった。

「何も買わないのにさぁ・・・」
「そんなものでしょ?学生のころなんて」

いわば、憩いの場所的存在だった。
買わずに眺めるだけ・・・それでも至福の時が流れた。

「当時、流行っていた・・・」

“ガンプラ“が目当てだった。

「男の子らしいね」
「でも、行って良かったよ」

忘れていたものを取りに行った気分だった。
そして、そこに何かを置いてきたもの事実だった。
S951
(No.951完)
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[No.951-1]憩いの場所

No.951-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「無くなってる・・・?」

多分、この場所にあったはずだ。
外観こそ変わったが、建物自体は面影を残しているからだ。

「・・・年ぶりに行ってきたよ」
「みゆき通りに」

実家に戻ったついでに、フッと行きたくなった。
高校を卒業して以来だった。

「たまに話しに出る、例の“通り”ね?」
「あぁ、そうだよ」

今更ながら足が向いたことには理由があった。
でも、それは隠しておきたい。

「どうだった?」
「・・・どうだろう」

記憶の中では、もう少し活気に溢れていたように思える。
人通りもそれなりにあった。

「若干、さびれた感はあったかな」
「そう・・・で、例の店は残ってた?」

彼女の言葉で思い出した。
その話をするつもりだったからだ。

「それが・・・」

建物はあったが、違う店になっていた。

(No.951-2へ続く)

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ホタル通信 No.415

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.578 バチあたりな行動
実話度:★☆☆☆☆(20%)
語り手:女性

読み返してみるとラストの2行にやや「失敗したぁ!」感が漂っています。

シチュエーションはほぼ事実です。マンションの一室から見える出窓の上でハトが寝ていました。
寝ているだけならいいのですが、朝方になると例の鳴き声がダイレクトに聞こえてきました。7階の出窓だけあって、ハトにとっては安全地帯です、私とは真逆で心置きなく眠れていることでしょう。
さて、冒頭で「失敗したぁ!」と思ったのは、私がハト以外のことでイライラしている伏線が書かれていないからです。
もちろん、伏線をあえて書かない小説も多いですが、この小説に関して言えば、書くべきだったでしょう。小説上では、イライラの原因がハトであることしか描かれていません。

ハトに悪気はないのでしょうが、こまりものでした。
ただ、鳴き声よりも困っていたのは“ハトの糞”でした。出窓はもちろん、周辺はハトの糞だらけで、長時間同じ場所に居座られるとその被害も尋常ではありませんでした。
それもあって、ハトには気の毒ですが、夜、懐中電灯の光で驚かしてしまった・・・というわけです。

まぁ・・・ハトは好きではありません。
でも、憎めない奴と言いますか、何かと話題を提供してくれる相棒とも言えなくもありません。
今でも時々ベランダでハトが休んでいるのを見掛けます。撃退?いいえ、陰からコッソリ覗いて、行動を観察しています。
S415
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[No.950-2]半年先にあるもの

No.950-2

「これからどうするの?」
「・・・今は答えを持っていない」

ただ、主治医の言葉通りなら、半年先には答えが出てしまう。
黙っていても。

「治療をあきらめる選択肢もある」

もちろん、続ける選択肢もある。
けど、そこにゴールはない。

「時々会いにいくさ、バレない程度に」

急に実家に帰る回数が増えるとそれこそ疑われる。
今まで通り、電話で調子を確認したり、たまに行ったり・・・。

「そうね・・・それがいいかも」
「正直に言えば、顔を見るのも辛いからね」

彼女が小さくうなづく。
言い方は適切ではないが、これに関しては彼女の方が先輩だ。

「冷静で居られる自信もないしな」
「私も・・・そうだったな」

とにかく今まで通り・・・今まで通り、過ごすことに決めた。

「うん・・・それもありだね!」

今回ばかりは時間が解決してはくれない。
解決どころか、むしろ複雑化する一方だろう。

「それでも、受け入れるつもり」
「本人と一緒に戦っていくだけさ」
S950
(No.950完)
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