[No.950-1]半年先にあるもの
No.950-1
登場人物
男性=牽引役 女性=相手
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「・・・どうだった?」
「うん・・・まぁ・・・」
最後まで言わずとも察してくれると思う。
「呼ばれた時点で覚悟はしてたけどな」
「・・・そう・・・」
昨日、主治医から呼び出された。
もう、その時点で予想はできていた。
「本人には?」
「もちろん、言ってない」
ただ、気付かれている可能性はゼロではない。
僕が呼ばれていることを知っているからだ。
「ただ・・・ね」
「なんて言うか・・・」
ドラマや映画のワンシーンを見ているようだった。
まるで他人事のように・・・。
「私も・・・そんな感じだったよ」
「全然実感が湧かなかった、その瞬間は」
僕も同じ気持ちだった。
元気いっぱいとは言えないものの、普通の生活はできている。
その姿からすれば、主治医の言葉がウソに聞こえるくらいだ。
「僕も、今頃になって・・・こう・・・」
昨日のことを思い出すだけで胸が苦しくなる。
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