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[No.949-1]目薬

No.949-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
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「なにしてるの?」
「なにって・・・見て分からない?」

それは僕でも分かっている。
言いたいのは、そのだらしなく開いた口のことだ。

「なんで、口が開いてるんだよ?」
「えっ!?そうなの?」

やはり気付いていなかったらしい。

「まぁ、気持ちは分かるけどね」

昔は僕もそうだった。
口は開くけど、肝心の目が開かない。
上手に注せるようになったのは、しばらく経ってからだ。

「なによ、同じじゃん!」
「なぜか口ばかり開いちゃうんだよね」

上手く注せなかった目薬が口に流れ込んだこともあった。
その度に“オエッ!”とえずいていた。

「・・・あれ?目薬してたっけ?」

今までしているところを見たことがない。
そもそも、人前であまりするものでもないが・・・。

「う、ううん・・・最近、目が乾いちゃって・・・」

季節的にも乾燥する時期になってきたことは確かだ。
それに今日は寒さが特に厳しい。

(No.949-2へ続く)

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