[No.945-2]ブルーキュラソー
No.945-2
「子供の頃ね・・・」
気付けば戸棚に置いてあったらしい。
ホテルで見掛ける、あの小さなビンのやつらしい。
「うちって、誰もお酒飲まないから」
「インテリアとして飾ってたみたい」
うちも同じだ。
誰も飲まないはずなのに、ウィスキーが置いてあった。
「子供ながらに“何だろう?”って」
「まぁ、ジュースに見えなくもないしな」
ビンやラベルもお洒落なものが多い。
「ただ、ビンが暗い色だから」
「色は、しばらく分からなかったんだよね」
確かにアルコールのビンの色は暗いものが多い。
「あけてみたら美味しそうな“青色だった!”ってパターン?」
「その逆!マズそうな色だと思った、当時は」
彼女のネイルの色からすれば、うなずける話だ。
飲み物以外の液体を想像してしまう。
「だろうな、こんな原色の青・・・ん?」
なにか腑に落ちない。
「そう言えば・・・色ってどうやって知ったの?」
確か、中身は見えなかったはずだ。
家族の誰かが知っていたとも思えない。
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