« ホタル通信 No.413 | トップページ | [No.947-2]憂鬱になる曲 »

[No.947-1]憂鬱になる曲

No.947-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
同僚と目が合う。
何も語らずとも、その目が合った理由は分かっている。

「この曲・・・」
「私もそう思ってた」

大いに聞き覚えのある曲が店内に流れ始めた。
相変わらず爽快なメロディだ。

「曲自体に罪はないんだけどね」

私も同僚と同じ考えだ。

「そうよね」
「環境と言うか・・・シチュエーションと言うか・・」

この曲を始めて聞いたのは会社の寮だった。
毎朝、7時になると目覚まし代わりに曲が流れる。

「“一日が始まるぅ!”・・・と思うと」
「辛かったよね」

新入社員だった私たちには過酷な毎日だった。
不安な中、研修の毎日が続いた。

「トラウマまでは行かないけど」
「もの凄く当時を思い出しちゃう」

もちろん、私も同じだ。
爽快なメロディに反して、気分は憂鬱そのものだった。

「良い曲なのにね」
「全くそう!」

出来れば、違う環境で出会いたかった曲だ。

(No.947-2へ続く)

| |

« ホタル通信 No.413 | トップページ | [No.947-2]憂鬱になる曲 »

(038)小説No.926~950」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« ホタル通信 No.413 | トップページ | [No.947-2]憂鬱になる曲 »