[No.947-1]憂鬱になる曲
No.947-1
登場人物
女性=牽引役 女性=相手
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同僚と目が合う。
何も語らずとも、その目が合った理由は分かっている。
「この曲・・・」
「私もそう思ってた」
大いに聞き覚えのある曲が店内に流れ始めた。
相変わらず爽快なメロディだ。
「曲自体に罪はないんだけどね」
私も同僚と同じ考えだ。
「そうよね」
「環境と言うか・・・シチュエーションと言うか・・」
この曲を始めて聞いたのは会社の寮だった。
毎朝、7時になると目覚まし代わりに曲が流れる。
「“一日が始まるぅ!”・・・と思うと」
「辛かったよね」
新入社員だった私たちには過酷な毎日だった。
不安な中、研修の毎日が続いた。
「トラウマまでは行かないけど」
「もの凄く当時を思い出しちゃう」
もちろん、私も同じだ。
爽快なメロディに反して、気分は憂鬱そのものだった。
「良い曲なのにね」
「全くそう!」
出来れば、違う環境で出会いたかった曲だ。
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