« [No.947-1]憂鬱になる曲 | トップページ | [No.948-1]モジモジ »

[No.947-2]憂鬱になる曲

No.947-2

「まぁ・・・それでも生き延びたよね、私たち」
「何とかね」

毎日が全力だった。

「この曲を、いつか心穏やかに聞けるのかなぁ?」
「どうだろうね」

完全に“この曲イコール辛い日々”の図式が成立している。
これを崩すのは容易ではないだろう。

「それにしても・・・」

私たちの気持ちをよそに曲は流れ続けている。
爽快な良い曲なのに残念だ。

「・・そう言えば覚えてる?」
「もしかして、“彼”のこと?」

同僚がうなづく。

「イケメンだったよね!」
「そうそう!だけどさ・・・」

彼は彼で全力だったし、必死だったと思う。
みんな、とても浮かれた気分にはなれなかっただろう。

「あまり話す機会もなかったもんね」
「どうしてるのかな?」

彼も彼で“生き残った”ことだけは覚えている。

「出来れば、違う環境で出会いたかったよね」
S947
(No.947完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| |

« [No.947-1]憂鬱になる曲 | トップページ | [No.948-1]モジモジ »

(038)小説No.926~950」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« [No.947-1]憂鬱になる曲 | トップページ | [No.948-1]モジモジ »