[No.947-2]憂鬱になる曲
No.947-2
「まぁ・・・それでも生き延びたよね、私たち」
「何とかね」
毎日が全力だった。
「この曲を、いつか心穏やかに聞けるのかなぁ?」
「どうだろうね」
完全に“この曲イコール辛い日々”の図式が成立している。
これを崩すのは容易ではないだろう。
「それにしても・・・」
私たちの気持ちをよそに曲は流れ続けている。
爽快な良い曲なのに残念だ。
「・・そう言えば覚えてる?」
「もしかして、“彼”のこと?」
同僚がうなづく。
「イケメンだったよね!」
「そうそう!だけどさ・・・」
彼は彼で全力だったし、必死だったと思う。
みんな、とても浮かれた気分にはなれなかっただろう。
「あまり話す機会もなかったもんね」
「どうしてるのかな?」
彼も彼で“生き残った”ことだけは覚えている。
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