[No.949-2]目薬
No.949-2
「・・・まだやってるのか?」
「だって・・・」
下手糞と言うか、不器用と言うか・・・。
さっきから上を向いてばかりだ。
「注してやろうか?」
「いいよ、自分でやるから」
そう言うと、向こうを向いてしまった。
さっきとはうって変わって、その姿を見せたくないらしい。
「見ないでよ」
「見ないよ」
それにしても、やっぱり彼女は不器用だ。
けど、そこが彼女らしいところでもある。
「もぉ!せかすから失敗したじゃない!」
「・・・みたいだな」
今まさに、彼女の頬を目薬が伝って落ちようとしている。
「難しいね!」
「まぁ、そういうことにしてあげるよ」
そう言っている間にも、次から次へと目薬が頬を伝う。
「じゃ、元気で」
「うん・・・あなたもね」
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