« [No.944-1]何のため? | トップページ | ホタル通信 No.412 »

[No.944-2]何のため?

No.944-2

「それって・・・触れてもいいの?」

彼女が真剣な表情で聞いてきた。

「いいよ・・・あぁ、そういうことね!」

言い終えて聞かれた意味に気付いた。

「ちなみに“服を買えなかったから”じゃないぞ」
「あ・・・そ、そうなんだぁ・・・」

どうやら図星のようだった。

「うちの学校の制服って・・・」

体操服が制服代わりだった。
もちろん、長袖、長ズボンもあった。

「じゃぁ・・・事情って?」
「つまらない事情だよ、ガキのたわごと」

当時、長袖、長ズボンはひ弱な象徴だった。
だから、わんぱくな男子ほど、それを着たがらなかった。

「まぁ、女子から・・・」
「“もてたかった”というのもあったけど」

つまり、子供ながら、硬派をきどっていたわけだ。

「でも、もてなかったでしょ?」

当たっている・・・そんな程度でもてるわけがない。
でも、当時は気付くはずもなかった。

「じゃ、聞くけど」
「そのミニスカは何のためだよ?」

今の僕以上に、寒そうだ。
S944
(No.944完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| |

« [No.944-1]何のため? | トップページ | ホタル通信 No.412 »

(038)小説No.926~950」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« [No.944-1]何のため? | トップページ | ホタル通信 No.412 »