[No.944-2]何のため?
No.944-2
「それって・・・触れてもいいの?」
彼女が真剣な表情で聞いてきた。
「いいよ・・・あぁ、そういうことね!」
言い終えて聞かれた意味に気付いた。
「ちなみに“服を買えなかったから”じゃないぞ」
「あ・・・そ、そうなんだぁ・・・」
どうやら図星のようだった。
「うちの学校の制服って・・・」
体操服が制服代わりだった。
もちろん、長袖、長ズボンもあった。
「じゃぁ・・・事情って?」
「つまらない事情だよ、ガキのたわごと」
当時、長袖、長ズボンはひ弱な象徴だった。
だから、わんぱくな男子ほど、それを着たがらなかった。
「まぁ、女子から・・・」
「“もてたかった”というのもあったけど」
つまり、子供ながら、硬派をきどっていたわけだ。
「でも、もてなかったでしょ?」
当たっている・・・そんな程度でもてるわけがない。
でも、当時は気付くはずもなかった。
「じゃ、聞くけど」
「そのミニスカは何のためだよ?」
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