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2019年11月

[No.950-1]半年先にあるもの

No.950-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「・・・どうだった?」
「うん・・・まぁ・・・」

最後まで言わずとも察してくれると思う。

「呼ばれた時点で覚悟はしてたけどな」
「・・・そう・・・」

昨日、主治医から呼び出された。
もう、その時点で予想はできていた。

「本人には?」
「もちろん、言ってない」

ただ、気付かれている可能性はゼロではない。
僕が呼ばれていることを知っているからだ。

「ただ・・・ね」
「なんて言うか・・・」

ドラマや映画のワンシーンを見ているようだった。
まるで他人事のように・・・。

「私も・・・そんな感じだったよ」
「全然実感が湧かなかった、その瞬間は」

僕も同じ気持ちだった。
元気いっぱいとは言えないものの、普通の生活はできている。
その姿からすれば、主治医の言葉がウソに聞こえるくらいだ。

「僕も、今頃になって・・・こう・・・」

昨日のことを思い出すだけで胸が苦しくなる。

(No.950-2へ続く)

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[No.949-2]目薬

No.949-2

「・・・まだやってるのか?」
「だって・・・」

下手糞と言うか、不器用と言うか・・・。
さっきから上を向いてばかりだ。

「注してやろうか?」
「いいよ、自分でやるから」

そう言うと、向こうを向いてしまった。
さっきとはうって変わって、その姿を見せたくないらしい。

「見ないでよ」
「見ないよ」

それにしても、やっぱり彼女は不器用だ。
けど、そこが彼女らしいところでもある。

「もぉ!せかすから失敗したじゃない!」
「・・・みたいだな」

今まさに、彼女の頬を目薬が伝って落ちようとしている。

「難しいね!」
「まぁ、そういうことにしてあげるよ」

そう言っている間にも、次から次へと目薬が頬を伝う。

「じゃ、元気で」
「うん・・・あなたもね」

僕の眼からも目薬が流れ始めた。
S949
(No.949完)
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[No.949-1]目薬

No.949-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「なにしてるの?」
「なにって・・・見て分からない?」

それは僕でも分かっている。
言いたいのは、そのだらしなく開いた口のことだ。

「なんで、口が開いてるんだよ?」
「えっ!?そうなの?」

やはり気付いていなかったらしい。

「まぁ、気持ちは分かるけどね」

昔は僕もそうだった。
口は開くけど、肝心の目が開かない。
上手に注せるようになったのは、しばらく経ってからだ。

「なによ、同じじゃん!」
「なぜか口ばかり開いちゃうんだよね」

上手く注せなかった目薬が口に流れ込んだこともあった。
その度に“オエッ!”とえずいていた。

「・・・あれ?目薬してたっけ?」

今までしているところを見たことがない。
そもそも、人前であまりするものでもないが・・・。

「う、ううん・・・最近、目が乾いちゃって・・・」

季節的にも乾燥する時期になってきたことは確かだ。
それに今日は寒さが特に厳しい。

(No.949-2へ続く)

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ホタル通信 No.414

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.593 幻の桜
実話度:★★☆☆☆(40%)
語り手:女性

この小説で描かれている場所は、今でも実在しており、平日は毎日その場所を通っています。

小説の通り、ある日「えっ!?」みたいな発見がありました。
桜が完全に散った冬こそ、幻の桜は咲き誇ります。マンションの外壁のピンク色が何もない桜の枝に映えるからです。もちろん今の時期も咲いています。
桜って、その存在だけで、ドラマを感じさせます。入学や卒業がその代表例でしょう。きっと、多くの笑顔や涙を桜は見てきたと思います。

小説自体には奥深いものはなく、“状況説明”調な展開です。
悪く言えば、冬のホタルの醍醐味である“ドロドロ”感がまるでありません。ですが、主軸が桜だけに、その存在だけで何かを物語ってくれる・・・そんな印象を持っています。
従って、小説が何かを訴え掛けるというスタンスではなく、読み手の皆さんが、桜を通じて自分の経験を振り返っていただく・・・そんな作りと言えます。

そのため、ラストもあえて中途半端にして、“何かあるような”感じで締めくくっています。
人それぞれ、自分の想いをそこに重ねていただければ幸いです。
T593
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[No.948-2]モジモジ

No.948-2

『美味しそうだね!』

まずはいつも通り、当たり障りのない返事を返す。

『味はイマイチだろうけどね』

この意味は分かっている。
謙遜でもないし、料理が下手なわけでもない。

『仕方ないよ』
『いわゆる“病院食”みたいなものでしょ?』

あえて薄味にしている。
その理由も、それを誰が食べているのかも知っている。

『そうだね』
『とりあえず今から行って来ます!』

どこに向かうかも知っている。
すかさず、“了解”のスタンプを返す。

『それにしても、バイブが激しく振動すると・・・』
『・・・ちゃんからの料理のサ・イ・ンだよね!』

LINEを返して気付いた。
このフレーズ・・・まるで・・・。

『これって、ドリカムの・・・』

未来予想図Ⅱの歌詞と何となく似ている。
シチュエーションこそ違うが、雰囲気はそう遠くはない。

「・・・ん!?」

すぐに返事が返ってきた。
“照れたキャラクター”がモジモジしているスタンプだった。
S948
(No.948完)
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[No.948-1]モジモジ

No.948-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
ここ数ヶ月、日曜日の午前中にあるLINEが届くようになった。
でも、今日はまだ届いていない。

「忘れてるのかな?」

督促するのは変だけど気にはなる。

「まずは、さりげなく・・・」

言葉ではなく“空腹を連想させる”スタンプを送った。
彼女ならきっと気付いてくれるはずだ。

「これでよし・・・と」

日曜日になると料理の写真が送られてくるようになった。
ただ、“インスタ映え”を狙ったものではない。
それに、単なる料理自慢をしているわけでもない。

「気付いてくれ・・・あっ!」

そう独り言を言いかけた時、スマホのバイブが激しく振動した。

「おっ!来たか!」

多分、料理の写真に間違いないだろう。
バイブの振動が何度も続いたからだ。

「どれどれ・・・」

やはり、料理の写真だった。
それも、12枚。

「今回はいつもより多いな」

そこには、秋の味覚がふんだんに盛り込まれていた。

(No.948-2へ続く)

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[No.947-2]憂鬱になる曲

No.947-2

「まぁ・・・それでも生き延びたよね、私たち」
「何とかね」

毎日が全力だった。

「この曲を、いつか心穏やかに聞けるのかなぁ?」
「どうだろうね」

完全に“この曲イコール辛い日々”の図式が成立している。
これを崩すのは容易ではないだろう。

「それにしても・・・」

私たちの気持ちをよそに曲は流れ続けている。
爽快な良い曲なのに残念だ。

「・・そう言えば覚えてる?」
「もしかして、“彼”のこと?」

同僚がうなづく。

「イケメンだったよね!」
「そうそう!だけどさ・・・」

彼は彼で全力だったし、必死だったと思う。
みんな、とても浮かれた気分にはなれなかっただろう。

「あまり話す機会もなかったもんね」
「どうしてるのかな?」

彼も彼で“生き残った”ことだけは覚えている。

「出来れば、違う環境で出会いたかったよね」
S947
(No.947完)
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[No.947-1]憂鬱になる曲

No.947-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
同僚と目が合う。
何も語らずとも、その目が合った理由は分かっている。

「この曲・・・」
「私もそう思ってた」

大いに聞き覚えのある曲が店内に流れ始めた。
相変わらず爽快なメロディだ。

「曲自体に罪はないんだけどね」

私も同僚と同じ考えだ。

「そうよね」
「環境と言うか・・・シチュエーションと言うか・・」

この曲を始めて聞いたのは会社の寮だった。
毎朝、7時になると目覚まし代わりに曲が流れる。

「“一日が始まるぅ!”・・・と思うと」
「辛かったよね」

新入社員だった私たちには過酷な毎日だった。
不安な中、研修の毎日が続いた。

「トラウマまでは行かないけど」
「もの凄く当時を思い出しちゃう」

もちろん、私も同じだ。
爽快なメロディに反して、気分は憂鬱そのものだった。

「良い曲なのにね」
「全くそう!」

出来れば、違う環境で出会いたかった曲だ。

(No.947-2へ続く)

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ホタル通信 No.413

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.518 静かな日曜日
実話度:☆☆☆☆☆(00%)
語り手:男性

こんな小説を作っていたんですね。それに読み直してみても内容がイマイチ入ってきません。

小説を書くきっかけは何だったのか、全く覚えていませんが、雰囲気からすれば、日曜日に早朝から出掛ける予定があり、その時のシーンを描いたような気がします。
全編プライベートな内容ではなく、仕事の話になっていることから、多分、出張の行きか帰りかの体験談が基になっている可能性が濃厚です。
一時期、仕事の関係で全国を1ヶ月ほど飛び回っていたことがありました。

実話度が示す通り、きっかけはあったにせよ、ほぼ創作です。
小説上の私(男性)は店長ではなく、そもそも自営業ではありません。話に都合上、そうしたに過ぎません。
冒頭書いたように何を言いたい小説か分かりません。もちろんメッセージ性のある小説を書いているわけではないので、気にする必要もありませんが、良い意味での“自己満足”も感じません。
とは言え、私がよく言う“商業的な”作りでもなく、創作物としてもイマイチです。

ラストに何となくオチらしきものを持ってきていますが、何度も言うようですが、心に響かないですね。
T413
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[No.946-2]私は三流

No.946-2

「なんか、申し訳なくて」
「・・・それで浮かない顔なのね」

ブログを続けることだけに固執していないか?
最近、そう考えるようになった。

「辞めるってこと?」
「・・・その考えもゼロではない」

もちろん、出来る限り続けて行きたい。
それに・・・。

「やっぱり、書くことが好きみたい」

昔から文章を書くのは好きだった。

「前にも言ったことがあるかもしれないけど」
「その苦しみもネタにしちゃえば?」

その考えは悪くはない。
今の私には、むしろ有り難い提案だ。

「そう思ってはいるんだけど・・・」

なかなか踏ん切りがつかない。
ブログの主旨から外れているように思えるからだ。

「もう!優柔不断なんだから!」
「それなら、一言、言ってあげる!」

友人が意を決したような表情をした。

「スランプってね・・・一流の人が使う言葉なの!」
「あんたは、三流以下!」

そう言うと、黙り込んでしまった。
でも、その気持ちは十分過ぎるほど伝わった。

「そうね、三流以下だから・・・」
「質なんて関係なし!」

いつか一流になれるかな?
S946
(No.946完)
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[No.946-1]私は三流

No.946-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「・・・どうしたの?浮かない顔して・・・」
「う、うん・・・」

ここに来て、かなりのスランプに陥っている。
原因はいくつか考えられなくもないが・・・。

「スランプ?」
「なんかスポーツとかしてたっけ?」
「ううん、私の場合・・・」

長年続けている“アレ”のことだ。

「・・・もしかして、ブログのこと?」
「そう!当たり」

ブログで小説を書いている。
正しくは、日常を“小説風”に切り取ったに過ぎない。

「まぁ、書けてはいるんだけど」

内容が伴っていない。

「そう?私が見る限り、そんな風には見えないけど?」
「“そんな風に見えない”のが逆に問題」
「どういう意味?」

最近、小説の質が落ちている。
私が言う質とは、見栄えのよさじゃない。

「世界観というか、泥臭さというか・・・」
「あなたがよく言ってる“商業的な”ってこと?」

さすが友人、よく知っている。

「そう・・・なんか、小さくまとまって」

魂が抜けた小説ばかりになっている。

「それでもね、“拍手”をくれる人が居て・・・」

同一人物か分からない。
ここ数ヶ月、日に20以上の拍手をもらうこともある。

(No.946-2へ続く)

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[No.945-2]ブルーキュラソー

No.945-2

「子供の頃ね・・・」

気付けば戸棚に置いてあったらしい。
ホテルで見掛ける、あの小さなビンのやつらしい。

「うちって、誰もお酒飲まないから」
「インテリアとして飾ってたみたい」

うちも同じだ。
誰も飲まないはずなのに、ウィスキーが置いてあった。

「子供ながらに“何だろう?”って」
「まぁ、ジュースに見えなくもないしな」

ビンやラベルもお洒落なものが多い。

「ただ、ビンが暗い色だから」
「色は、しばらく分からなかったんだよね」

確かにアルコールのビンの色は暗いものが多い。

「あけてみたら美味しそうな“青色だった!”ってパターン?」
「その逆!マズそうな色だと思った、当時は」

彼女のネイルの色からすれば、うなずける話だ。
飲み物以外の液体を想像してしまう。

「だろうな、こんな原色の青・・・ん?」

なにか腑に落ちない。

「そう言えば・・・色ってどうやって知ったの?」

確か、中身は見えなかったはずだ。
家族の誰かが知っていたとも思えない。

「どうって・・・そりゃ、空けてみたから」
S945
(No.945完)
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[No.945-1]ブルーキュラソー

No.945-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「ねぇ、“ブルーキュラソー”って知ってる」

聞いたことがあるような、ないような言葉だ。
ただ、言葉の響きから何となく予想はできる。

「カクテルの名前?」
「う~ん・・・ほぼ正解かな」

彼女がそれについて説明してくれた。

「なるほど」
「アルコール自体の名前なんだね」

カクテルになる前・・・
つまり、原料の一種と言っても良いだろう。

「でも・・・何だよ急に」

アルコールの話には程遠い時間だ。
まだ、昼にもなっていない。

「このネイルと似た色なんだよ」

わかりやすい例えだ。
ただ、この流れからすると、もしかして・・・

「ごめん・・・気付いてなかった」

真っ先に、僕に気付いて欲しかったに違いない。
以前、髪型を変えた時だって・・・。

「そう言えば、そんなこともあったわね」
「・・・今回は違う?」

彼女が小さくうなづく。
とりあえず、以前のような展開は避けられたようだ。

(No.945-2へ続く)

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ホタル通信 No.412

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.503 ファンクラブ
実話度:★☆☆☆☆(20%)
語り手:女性

会話自体は創作ですが、話の主軸となるクラブ活動の集合写真は事実です。

小説の上では、バスケ部になっていますが、実際は陸上部です。なぜ、わざわざバスケ部にしたのか覚えていませんが集合写真の“集合”のイメージから団体競技を選んだものと推測します。
陸上競技は、基本的に個人競技ですから、何となく集合というイメージに合いません。団体で男女共通の競技ということでバスケにしたんでしょう・・・安易ですが。

ファンクラブ・・・とは言いませんが、それはそれは女の子に囲まれてご満悦の表情でした。
記事の途中であえて書くのであれば、作者は牽引役である私(小説上の彼女)か、小説上の彼です。もし、作者が“彼”の方だったら自分で自分を褒めちぎっていることになります
が、ただの過去の栄光ですから、ご勘弁ください。
当時、女子高に通う私と付き合うことになり、偶然にもクラブ活動も同じだったことから、こんな騒ぎになりました。
そんなつもりはなかったのですが、なんせ、皆さんお年頃ですから・・・。

嬉しいような、そっとしておいて欲しい様な複雑な心境でした。
さすがにその写真の現物は残っていませんが、しっかり、心の中には焼き付いています。
T412
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[No.944-2]何のため?

No.944-2

「それって・・・触れてもいいの?」

彼女が真剣な表情で聞いてきた。

「いいよ・・・あぁ、そういうことね!」

言い終えて聞かれた意味に気付いた。

「ちなみに“服を買えなかったから”じゃないぞ」
「あ・・・そ、そうなんだぁ・・・」

どうやら図星のようだった。

「うちの学校の制服って・・・」

体操服が制服代わりだった。
もちろん、長袖、長ズボンもあった。

「じゃぁ・・・事情って?」
「つまらない事情だよ、ガキのたわごと」

当時、長袖、長ズボンはひ弱な象徴だった。
だから、わんぱくな男子ほど、それを着たがらなかった。

「まぁ、女子から・・・」
「“もてたかった”というのもあったけど」

つまり、子供ながら、硬派をきどっていたわけだ。

「でも、もてなかったでしょ?」

当たっている・・・そんな程度でもてるわけがない。
でも、当時は気付くはずもなかった。

「じゃ、聞くけど」
「そのミニスカは何のためだよ?」

今の僕以上に、寒そうだ。
S944
(No.944完)
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[No.944-1]何のため?

No.944-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「寒くないの!?」
「全然!」

今年は暖冬の影響もあり、今時期でも暖かい。
しばらくは半袖でも大丈夫だろう。

「でもさぁ・・・」
「もう、初冬なんだし」

“世の中の流れに合わせろよ”と言わんばかりの表情だ。

「いいだろ別に?」
「小学生じゃあるまいし・・・」

全国の小学生を敵に回しそうなセリフだ。
でも・・・。

「今時の小学生なら、もう長袖だろうな」
「それなら、小学生以下じゃん!」

いちいち、突っかかってくる。
真冬ならいざ知らず、日中はまだ汗ばむくらいだ。

「別にいい・・・」
「・・・あっ」

言い掛けてあることを思い出した。

「なによ?」
「さっきから、何度も小学生って言うから・・・」

かつて小学生だった自分を思い出した。
真冬でも半袖、半ズボンだった。

「えっ・・・真冬でも!?」
「そうだよ」

ただ、若干ではあるが、複雑な事情を抱えていた。
小学生ならでは・・・だが。

(No.944-2へ続く)

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