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[No.939-1]価値がある十円玉

No.939-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
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「・・・あぁー!無くなってるぅ!」
「わぁぁー!な、なによ、急に・・・」

つい、反射的に声が出てしまった。

「ご、ごめん・・・」

自販機で飲み物を買おうとして気付いた。
有ったものが無くなっている。

「な、なにが無くなったの?」
「十円玉・・・」

彼女がキョトンとした顔をしている。

「はぁ!?」
「実は・・・」

少し前に、ある十円玉を手に入れた。
それは俗に言われる“ギザ十”だ。

「・・・まぁ、聞いたことはあるけど」
「側面にギザギザの溝が掘られててさぁ」

普通の十円玉よりは珍しがられている。
多少価値があるとかないとか・・・。

「えっ!もしかして」
「ものすごく価値があったの?」

その質問には答え難かった。

「いいや・・・いいや?」
「何なの・・・その返事」

価値を調べる前に無くなってしまったからだ。

(No.939-2へ続く)

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