[No.937-1]外を眺めていた
No.937-1
登場人物
女性=牽引役 女性=相手
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徐々に“あの力”が復活して来ている。
以前にも増して、それが強くなっているようにも思える。
「最近、週末になると雨・・・だよね?」
言いたいことは分かっているつもりだ。
同僚の顔にもそう書いてある。
「・・・だね」
自分が雨女だということは自覚している。
それに、周りの人達にも十分過ぎるくらい知られている。
「復活してきてない?」
「例の・・・力」
痛いところを突いて来る。
最近なって、雨を呼び込む確立が明らかに増えてきている。
「ほら、一時期、あの力が消滅したじゃん」
例の力とか、あの力とは・・・雨女の力のことだ。
つまり、雨を降らせる力に他ならない。
「・・・そうなんだよね」
「自分でもそう思ってた」
雨が降るどころか、雨が止んでしまうこともあったくらいだ。
そんなこんなが、約1年も続いた。
それにしても、力が存在するのが前提なのには笑える。
「本当に力が消滅したと思ってたもん」
「これで、雨女の汚名返上かと・・・」
それがどこに行ってしまったのだろうか?
そうこう話しているうちにも、雨足はどんどん激しさを増している。
(No.937-2へ続く)
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