[No.937-2]外を眺めていた
No.937-2
「私・・・もう少ししてから帰るね」
「ごめん、そんなつもりじゃ・・・」
同僚に悪意がないのは分かっている。
でも、週末ともなれば飲みに行く人も多い。
「いいの、いいの!」
雨女に科学的根拠はない。
けど、偶然というレベルをはるかに超えている。
「でも・・・」
「ほんと、私は大丈夫だからさぁ!」
渋る同僚の背中を、軽く押し出した。
「はいはい、いってらっしゃい!」
(・・・さて・・・戻るか・・・)
とは言え、本当にオフィスに戻るわけにもいかない。
「社員食堂で、コーヒーでも・・・」
幸いにも、飲み物程度ならまだ営業しているだろう。
(とりあえず、成り行きを見守りますかぁ!)
心の中で呟きながら、窓際の席で外を眺める。
もちろん、雨の様子を伺うために。
「さて、お手並み拝見といきましょうか!」
自分のことなのに、まるで他人事のような表現になってしまった。
「・・・ん?・・・あれ?」
ふと周りを見渡すと、数名の社員が私と同じように外を眺めていた。
(No.937完)
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