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[No.941-1]匂いのせいで

No.941-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
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「ねぇ、秋の匂い・・・」
「待って!みなまで言わないで」

友人が私の話を途中でさえぎる。

「えぇっ・・・とね・・・答えは・・・」

クイズが好きな“友人ならでは”の対応だ。
クイズ王もビックリの早押しぶりだ。

「キンモクセイ!」
「・・・」

これがクイズ大会なら大恥をかくことになっただろう。

「ち、違うの!?」

勝手に話を進めて行く。
とは言え、付き合ってあげないと機嫌を損ねかねない。

「クイズなら・・・秋に香る代表的な草花と言えば」
「“キンモクセイですが・・・”となるでしょ?」

私だって、そこそこクイズの出題パターンは知っている。
“○○ですが”はその典型的な例だ。

「言うね~」
「裏を読まなきゃ」

ただ、今回に限っては裏は読めない。
あくまでも私の経験がその答えだからだ。

「じゃあ、なに?」
「今朝ね・・・」

ある懐かしい匂いがしてきた。
随分、昔に嗅いだことがある匂いだった。

(No.941-2へ続く)

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