[No.938-2]ある女の子の記憶
No.938-2
「覚えてるよ」
「まぁ・・・断片的だけどね」
何だか負けた気分だ。
歳も同じなだけに、僕の記憶力が劣っているのだろうか?
「ちなみに、自分の七五三も覚えてるの?」
「もちろんよ!」
そう言い切られると、逆に聞きたくなる。
「へぇ~じゃぁ・・・」
どこまで覚えてるか、聞いてみることにした。
「どこの神社に行った?」
「・・・神社だよ」
聞き覚えがある。
まぁ、家が隣同士だから、当然と言えば当然だろう。
自分もその神社に行った可能性が濃厚だ。
「電車で?」
「そうよ、写真に写ってる電車で」
この電車は覚えている。
というより、高校生まで通学でも使っていた電車だ。
「今は、新型車両になってるけどね」
「そうなの!?」
地元を離れてからは、この電車には乗っていない。
「それにしても、ほんとに楽しそうな写真だな」
「そうそう!随分、はしゃいでたわよ!」
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