[No.942-2]子供は無敵
No.942-2
「子供の頃ってさぁ・・・」
「すぐ覚えるよね」
他の楽器に比べて難易度が高くないせいもあるだろう。
「それに比較的短い曲とは言え・・・」
あっと言う間に音符を覚えてしまう。
「勝手に指が動くというか・・・」
「そうね・・・確かに」
放課後や自宅で練習した記憶は残っていない。
所詮、学校の授業だ。
そこまで、真剣に取り組んでいないのが正直なところだ。
「なんでだろうね・・・」
発表会を目の前にしてもプレッシャーは感じない。
そもそも“プレッシャー”自体の存在さえ知らなかった。
「ある意味、“無心”だったからかもしれないね」
失敗とか成功とか、考えたこともない。
「子供って無敵ね!」
「ほんと、度胸に関しては大人以上かもね」
それに、良い意味で守るべきモノもない。
「けど、急にどうしたの?こんな話をして・・・」
「ん?ちょ、ちょっと・・・ね」
別に大したことじゃない。
日々臆病になって行く私を、見つめ直したいだけだ。
(No.942完)
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