« [No.930-1]電車を見送る少女 | トップページ | ホタル通信 No.405 »

[No.930-2]電車を見送る少女

No.930-2

「・・・どうしたの?」
「元気ないわね・・・」

手を振る女の子を見ながら、あることを思い出していた。
それは、あまり触れられたくないことだ。

「うん・・・まぁ・・・」
「ははぁ~ん・・・さては・・・」

こういうことだけは本当に察しが早い。
これに“気遣い”が加われば最高なんだが・・・。

「子供の頃のこと、思い出してたんでしょ?」

どうやら、かいかぶり過ぎていたようだ。

「そ、そうそう!泣き虫でさぁ・・・私ぃ!」

この後は、適当に話をでっち上げた。

「あのね・・・そんな話で私が納得するとでも?」
「えっ!?」

追求する気、満々の顔だ。
くやしいけど、単に泳がされていただけだった。

「ほんとは誰なの?」
「・・・もぉ・・・言わなきゃダメ?」

あの日・・・私は決意の中、あの人の背中を見送った。
S930
(No.930完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| |

« [No.930-1]電車を見送る少女 | トップページ | ホタル通信 No.405 »

(038)小説No.926~950」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« [No.930-1]電車を見送る少女 | トップページ | ホタル通信 No.405 »