[No.923-2]虹の彼方へ
No.923-2
「えーなんでぇ・・・」
もともと消えかかっていたとは言え、薄情すぎる。
自然現象に文句を言っても仕方ないけど・・・。
「ごめん・・・消えちゃった」
「別に謝ることでもないだろう?」
せっかくなので、彼と一緒に虹を見たかった。
「もう少し早く気付いてたら・・・」
スマホかざした時点でそうそうに気付くべきだった。
「相変わらず、真面目と言うか・・・」
「自然現象だろ?」
「・・・うん」
ただ、逃した魚は大きい。
例え話が適切ではないが、そんな気分だ。
「君は見たんだろ?」
「えっ・・・うん」
うっすらだった分、目には焼き付かなかった。
でも、心にはしっかりと焼き付いた。
「なら、それでいいよ」
「聞かせてくれよ、どんなだったか」
虹にどんなもへったくれもない。
けど、話したいことは山ほどあった。
(No.923完)
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