[No.910-2]声援
No.910-2
更に競技場へ近づく。
声援もますます大きく聞こえてくる。
「走る人も応援する人も皆、気持ちは一緒!」
「・・・何よ、すごく良いこと言うじゃない?」
なにか引っ掛かるが、まぁ、いいだろう。
「体がムズムズしてきたわ」
じっとしていられない・・・そんな感覚だ。
何かが呼び起こされようとしている。
「青春に逆戻り?」
「・・・かもしれない!」
若者の声援に触発されて、少し若返った気分だ。
それに背中を押されているようでもある。
「けど、そんな気にもなるよね」
「うん・・・声援パワーって無視できないもん!」
あの頃も、随分と声援に助けられた。
「ちょっと、寄ってく?」
「・・・そうね」
昔を思い出して、大声で声援を送るのも悪くない。
走る若者に対してだけではない。
今の私自身に対しても言えることだ。
(No.910完)
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