[No.909-2]ずるいカラス
No.909-2
「待ってん!」
追い払おうとした僕を制止する。
「何にもせえへんよ」
「・・・なんで分かるんだよ?」
でも、確かに荒々しい雰囲気は感じられない。
「なんか、うちとおんなじ匂いがするわ」
「なんだよ!?同じ匂いって・・・」
それには答えず、じっとカラスを見つめ返していた。
「・・・独り言や」
「いや、十分聞こえてるでしょ!?」
そうこう話しているうちに、カラスが飛び去って行った。
「何だか、変わったカラスだったよな」
「・・・だから、うちとおなじやねん」
もう、これ以上は突っ込むことはしなかった。
ようやく言葉の意味が分かりかけてきたからだ。
「良くも悪くも、ズル賢く生きたらええねん!」
急に結論めいたことを話し出した。
同じ匂いとは、このことだったのだろうか・・・。
だとしても、彼女への想いはこれからも変わらない。
(No.909完)
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