[No.912-2]散策の悲劇
No.912-2
「多分、この辺りだと思うけど・・・」
交差点から少し進んだ所にあったはずだ。
でも、その場所には大きなマンションが立っていた。
「無くなった・・・よね?」
「・・・そうみたい」
目線の先には、昔から地元では有名な建物がある。
さすがに、そこは超えていなかったと記憶している。
「気付かなかったの?」
「だって、もう通り道じゃないし・・・」
高校を卒業したと同時に、この道も通らなくなったようだ。
「・・・そうよね、ごめん」
「でも、その存在自体も忘れてた、あなたが言うまで」
不思議と帰省した時も、そこを訪れることはなかった。
「私もそう・・・」
店のご主人には何かと世話になっていたはずなのに・・・。
「薄情ね、私たちって・・・」
気楽な散策に、暗雲が立ち込めた雰囲気だ。
「そうなの!?」
後になって、違う場所で営業していることを知った。
もちろん、お盆休みには行ってみるつもりだ。
(No.912完)
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