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2019年6月

[No.915-1]君の名は

No.915-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「全然、変わってないね」
「そう?」

昔のアルバムを友人に見つけられた。
まぁ、普通に本棚に置いてあればそうもなる。

「けど・・・さぁ・・・」
「ん?なに?」

ページを前後にめくりはじめた。
何かを確認しているようだ。

「さっきから、ちょくちょく出てくるのよね・・・」
「えっ!?まさか変なモノでも写ってたの?」

友人は、いわゆる霊感を持ち合わせている。
この前も・・・。

「あのね・・・そう頻繁に見えるもんじゃないわよ」

それが逆に本物っぽい。

「これって何なの?」

写真の中の私を指さす。
いや・・・その私が寝転んでいるモノを言ってるのだろう。

「この青いやつ?」
「そう・・・名前はわかんないけど」

名前が分からず困っている。

「これは・・・ね」

(・・・あれ?)

知っているはずなのに、名前が出てこない。

(No.915-2へ続く)

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ホタル通信 No.397

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.468 雨宿り
実話度:★★☆☆☆(40%)
語り手:女性

あえて書けば、実際の登場人物は男と女・・・男子と女子でした。作者はこのどちらかです。

では、小説上の私(女性)として話を進めて行きますね。実話度が示す通り、比較的、事実に基づいた小説です。特に後半の「照れ隠しの行動」の部分は、それを色濃く表しています。
振り返れば、雨の日もその男子と会っていた・・・というより、会える日が限られていたので、その日がたまたま雨だった・・・が正解です。

小説と異なる部分は、照れ隠しをしていたのは、彼の方でした。
ただ、作者はどちらかですから、もし、作者が男性なら照れ隠しをしていたことを懐かしみながらこの記事を書いていることになりますね。
混乱させることを書いて申し訳ございませんが、作者の性別や年齢を想像しながら読むのも冬のホタルの醍醐味です。前にも書きましたが、今現在、学生ではありませんので。

ラストはややコミカルに終わらせてみました。
もしかしたらこの小説を書くこと自体、照れ臭かったので、それを誤魔化す意味で、コミカルにしたのかもしれません。
T397
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[No.914-2]かなぶん

No.914-2

「それで、そのかなぶんは?」
「もちろん、つまんで放り投げたわ」

なるほど・・・つじつまがあってきた。

「ほんと、失礼しちゃうわね!」

よほど頭に来ているらしい。

「かなぶんだって、悪気があったわけじゃないでしょ?」
「そりゃそうだけど・・・」

確かにディナーを前にすればそんな気にもなるだろう。
そのために、おしゃれをして来たのだから。

「とにかく、そのみどり色のかなぶんのことは忘れて・・・」
「ディナーを楽しみましょ!」

その瞬間、友人の表情が険しくなった。

「・・・みどり色?」
「ん?そうよ、光沢のある・・・」

(・・・あっ)

「確か・・・かなぶんって知らなかったよね?」

まるで推理小説の“犯人”のようだった。
つい、ボロがでてしまった。

「だから、会ったそうそう言おうとしたの!」

肩の上に、何か付いていますよと。
S914
(No.914完)
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[No.914-1]かなぶん

No.914-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「あ・・・ね・・・・」
「ちょっと聞いてよ!!」

私の言葉は友人の大きな声で掻き消された。

「ど、どうしたの?」

先に話を聞いた方が賢明な雰囲気だ。
それからでも遅くないだろう・・・多分。

「ここに来る前に」
「かなぶんが、飛んできてさぁ」

(・・・かなぶん?)

「そいつが私の胸に飛び込んできたの!」
「・・・ちなみにかなぶんってなに?」

何となく想像は付くが、一応確認したほうがいいだろう。

「なにって、これくらいの虫にきまってるでしょ?」

親指と人差し指で、500円硬貨程度の輪を作る。

「これからの季節、街灯とかに集まってくるやつ」

さすが、生物部に所属していただけのことはある。
動植物に加えて、昆虫にも詳しい。

「私の豊満な胸に飛び込んでくるなんて10年早いの!」

とは言うものの、飛び込んでもおかしくない服装だ。
胸の部分が大きく開いているからだ。

(No.914-2へ続く)

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[No.913-2]胸に聞いてみた

No.913-2

「ただ、国語とは言っても・・・」

別に言う必要はないが、なぜか聞いて欲しくなった。

「授業で詩・・・今で言えば、ポエムってやつが・・・」

小学生離れした内容を書いていた。

「そうだと思った!」
「なんで分かるんだよ!?」

話をあわせているようで、逆に腹立たしい気分だ。
決して悪気はないのだろうが・・・。

「それは・・・な、い、しょ!」
「そりゃないだろ!?」

そこが一番知りたい部分だ。

「自分の胸に聞いてみたら?」

散々聞かれたあげく、急に突き放された気分だ。

「なんだよそれ・・・」
「いいから!いいから!」

強引に僕の右手を掴んだ。

「ちょ、ちょっと・・・」

抵抗する間もなく、右手を胸に押し付ける。
ただ、僕の胸ではない。

「えっ!?」

激しく波打つ、心臓の鼓動が手に伝わる。
S913
(No.913完)
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[No.913-1]胸に聞いてみた

No.913-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「・・・僕の?」

流れで、好きだった授業の話になった。

「まぁ、国語かな?」
「へぇ~やっぱり!」

(・・・やっぱり?)

「なんだよ、やっぱりって?」

彼女は、仲の良い同僚のひとりだ。
とは言え、それにまつわる話をした記憶はない。

「だってさぁ・・・」
「メールとかの文章がしっかりしてるもん!」

日常の連絡手段はLINEだ。
でも、時より、内容によってはメールを使うことがある。

「そ、そうかな・・・」

国語は国語でも、ある一部分の授業が好きだったに過ぎない。

「そうよ、すっ・・・ごい!読みやすい」

確かに文章を書くことは好きだった。
それが、良い結果をもたらしている可能性はある。

「とりあえず、ありがとう」

振り返ると、僕は“芸術系”を得意としているようだ。
そんな想い出が数多くある。

(No.913-2へ続く)

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ホタル通信 No.396

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.436 彼女が残したもの
実話度:★☆☆☆☆(20%)
語り手:男性

心の声・・・つまり内面的な部分については実話です。とある人との別れから4年が経過していました。

別れとは言っても付き合っていたわけではありません。知り合いと言った表現が適切かもしれません。ある側面では深く、違う側面では浅い・・・冬のホタルではお馴染みの“あの人”です。
小説では、アレコレと想い出を語るのではなく、“そんなことがあった”程度に表面化させています。
話の主軸はそこにあるのですが、そこに花粉症を被せて物語を展開させています。

作者自身は、クヨクヨするタイプなのですが、小説までそうさせたいとは思っていません。そのため、その裏返し的なものとして花粉症を持ち出し、ユーモアがある展開にしてみました。
小説では彼女が、僕の心の声に気付いているような感じで話を進めています。でも、あえてそこには触れずに、花粉症のままでラストを迎えます。

記憶は定かではないですが、ラストは考えた上で出てきたものではなく、登場人物たちが自ら作り上げた結末です。
これは冬のホタル独特の手法で「この流れで彼ならどうするか」という登場人物目線で、彼らに結末を委ねています。
T396
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[No.912-2]散策の悲劇

No.912-2

「多分、この辺りだと思うけど・・・」

交差点から少し進んだ所にあったはずだ。
でも、その場所には大きなマンションが立っていた。

「無くなった・・・よね?」
「・・・そうみたい」

目線の先には、昔から地元では有名な建物がある。
さすがに、そこは超えていなかったと記憶している。

「気付かなかったの?」
「だって、もう通り道じゃないし・・・」

高校を卒業したと同時に、この道も通らなくなったようだ。

「・・・そうよね、ごめん」
「でも、その存在自体も忘れてた、あなたが言うまで」

不思議と帰省した時も、そこを訪れることはなかった。

「私もそう・・・」

店のご主人には何かと世話になっていたはずなのに・・・。

「薄情ね、私たちって・・・」

気楽な散策に、暗雲が立ち込めた雰囲気だ。
 
「そうなの!?」

後になって、違う場所で営業していることを知った。
もちろん、お盆休みには行ってみるつもりだ。
S912
(No.912完)
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[No.912-1]散策の悲劇

No.912-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「随分、変わったわね・・・」

それこそ十数年ぶりに、この辺りを訪れた。

「そう?地元に居ると逆に気付かないかもね」

超大型のゴールデンウィークだ。
こんな機会は二度とないかもしれない。

「それにしても初めてじゃない?」
「ゴールデンウィークに帰ってきたのって」

確かに友人の言うとおりだ。
今まで盆と正月しか帰省したことがない。

「だって、10日間もあるのよ!?」

例年なら、その半分もない。
だから、いつもは眼中になかった。

「だから、散策でもしようかな・・・って」

いつもは友人と飲んで終わる。
けど、今回は違う。

「この辺りに、お好み屋さん・・・在ったよね?」
「そう言えば、そうね・・・」

友人とよく通った。

「あなたが地元を離れて以来、行ってないね」
「・・・通り過ぎちゃったのかな?」

歩いてきた道を少し引き返してみた。

(No.912-2へ続く)

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[No.911-2]素直な気持ち

No.911-2

「私って、極端な性格だから・・・」

張り詰めていた糸が、“プツン”と切れたようだった。
そうなると、ブログを書くことが面倒になった。

「ただ、節目を迎えたし、それに・・・」
「1000話に手が届くようになったので」

どうせやめるなら、そこに到達してからにしたい。

「あなたらしいね」
「それって、仕事でもないのに」

そう・・・やめてしまっても誰も困らない。
そもそも、そんなに見られてもいないブログだ。

「そんな中でも、陰ながら応援してくれる読者もいてさ」

休載中も、多くの“拍手”を頂いた。

「それが、復活のエネルギーになったの」

そうこうしている内に、システムも安定し始めた。
そして、復活する日をアナウンスした。

「ほんと、あなたらしいよ!」
「・・・褒め言葉として受けとるよ」

でも、正直に言えば、休載前のモチベーションにまだ達していない。

「それでも、これからも書き続けるわよ!」
S911
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[No.911-1]素直な気持ち

No.911-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「・・・で、結局続けることにしたんだ?」
「まぁ・・・ね」

最近、ブログを始めて11年目を迎えた。
そんな時に限って、屋台骨を揺るがす事態が起きた。

「正直、このまま、やめちゃおうかな・・・とも思った」

ブログを書くシステムが全面的にリニューアルされた。
操作に不慣れという以前に、不具合が数多くあった。

「だから、“書く”ことが逆にストレスになって」

今まで出来ていたことができない。
また、思ったような仕上がりにもならない。

「でも、そんなこと往々にしてあるよね」
「ほら、うちの会社のシステムだって」

確かに、何事もなく、リニューアルされることは少ない。
リニューアル当日は、社内で怒涛が飛び交うことも多い。

「だから、しばらく休むことにしたの」

ある程度過ぎれば、改善もされるだろう・・・。
そんな期待を胸に、しばらく休載することにした。

「繰り返しになるけど・・・」
「よく復活したね?」

これに関しては自分でも不思議に思っている。

(No.911-2へ続く)

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ホタル通信 No.395

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.419 フリージアの雨
実話度:☆☆☆☆☆(00%)
語り手:女性

話のきっかけは何だったのでしょうか・・・思い出せません。ただシチュエーションは違えども、びしょ濡れになった経験が、ヒントになっていると思います。

ドラマで見掛ける雨に打たれるシーン・・・結構、インパクトがあります。見た目の悲壮感からくる感情移入も相当あるでしょう。
それを小説上の私が実演したような格好になりました。ただ実話度の通り、ほぼ創作です。
以前に、失恋とかそのようなものとは無関係で、急な雨に打たれたことがありました。かなり降っていたにも関わらず、何の根拠もなく、雨の中を走って帰路についた経験があります。

その時、想像以上にびしょ濡れになり、みっともない姿をさらすはめになりました。
突然の雨とは言え、雨宿りするとか、今の時代、コンビニだってあります。なぜ、それらを選択しなかったのか・・・当時は当時で色々あったのかもしれませんね、他人事のようですが。

全体的に雰囲気は伝わるものの、読み難い文章ですね。それとタイトルは荻野目洋子さんのアルバム曲からいただきました。
T395
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[No.910-2]声援

No.910-2

更に競技場へ近づく。
声援もますます大きく聞こえてくる。

「走る人も応援する人も皆、気持ちは一緒!」
「・・・何よ、すごく良いこと言うじゃない?」

なにか引っ掛かるが、まぁ、いいだろう。

「体がムズムズしてきたわ」

じっとしていられない・・・そんな感覚だ。
何かが呼び起こされようとしている。

「青春に逆戻り?」
「・・・かもしれない!」

若者の声援に触発されて、少し若返った気分だ。
それに背中を押されているようでもある。

「けど、そんな気にもなるよね」
「うん・・・声援パワーって無視できないもん!」

あの頃も、随分と声援に助けられた。

「ちょっと、寄ってく?」
「・・・そうね」

昔を思い出して、大声で声援を送るのも悪くない。
走る若者に対してだけではない。
今の私自身に対しても言えることだ。
S910
(No.910完)
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[No.910-1]声援

No.910-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「・・・何かやってるみたいね?」
「そうみたい・・・」

競技場に近づいてきたせいか、何やら声援が聞こえる。
明らかに若々しい声だ。

「ほら、あれ見て!」
「陸上競技か!」

それらしい格好をした数名がランニングをしている。
陸上競技に間違いない。

「確か・・・」
「そうよ、高校だけだったけどね」

私も陸上部だったから見れば分かる。

「時々、大会があって」

県内の学校が集まってきた。

「その時の声援って、格別でさぁ・・・」

大会は、言わば全員が敵になる。
だからこそ、声援だけが頼りと言っても過言ではない。

「それ、分かるわぁ~」
「私もバスケ部だったから」

多くの声援の中でも、不思議と仲間の声を聞き分けられた。

(No.910-2へ続く)

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[No.909-2]ずるいカラス

No.909-2

「待ってん!」

追い払おうとした僕を制止する。

「何にもせえへんよ」
「・・・なんで分かるんだよ?」

でも、確かに荒々しい雰囲気は感じられない。

「なんか、うちとおんなじ匂いがするわ」
「なんだよ!?同じ匂いって・・・」

それには答えず、じっとカラスを見つめ返していた。

「・・・独り言や」
「いや、十分聞こえてるでしょ!?」

そうこう話しているうちに、カラスが飛び去って行った。

「何だか、変わったカラスだったよな」
「・・・だから、うちとおなじやねん」

もう、これ以上は突っ込むことはしなかった。
ようやく言葉の意味が分かりかけてきたからだ。

「良くも悪くも、ズル賢く生きたらええねん!」

急に結論めいたことを話し出した。
同じ匂いとは、このことだったのだろうか・・・。
だとしても、彼女への想いはこれからも変わらない。
S909
(No.909完)
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[No.909-1]ずるいカラス

No.909-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「君を見てるよね?」
「うち?」

一匹のカラスがこちらを見ている。
何となく、彼女の方を見ている気がしてならない。

「ほら、体の向きだって」

若干ではあるが、彼女の方に体が向いている。

「せやね、そう言われたら・・・」

彼女が何かを食べているわけでもない。
だから、凝視される筋合いもない。

「何か・・・目立つものでも付けてる?」
「・・・アクセサリーとか」

そう言いながら、それがないことは知っている。
今日だけではなく、普段もアクセサリーとは無縁だからだ。

「いいや、つけてへんで」
「・・・だよな」

そうこうしている内に、若干、距離を縮めてきた。

「おいおい・・・」

時より巷では、カラスの凶暴な振る舞いが問題になる。
早めに追い払った方が良いかもしれない。

(No.909-2へ続く)

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