« [No.904-1]そこに山があるから | トップページ | ホタル通信 No.392 »

[No.904-2]そこに山があるから

No.904-2

「中学生になったら」

通学路が変わり、山がある道を通らなくなった。

「そこから記憶が曖昧になってる」
「今、その場所は?」

その場所どころか、一帯が住宅街に変わった。
かろうじて、山があった場所だけは記憶に残っている。

「だから、いつ無くなったのかは不明」

今でも残っていたら、間違いなく立入禁止になるだろう。

「そりゃそうよ・・・ケガでもしたら大変な時代だもん!」
「まぁ、古きよき時代の話さ」

そんな歳でないけど、ふとそんなことを思い出した。

「登ってみたくなったわ」

彼女が目を輝かせている。

「そんな趣味あったっけ?」
「ううん、ヤンチャなだけよ」

何とも彼女らしいセリフだった。

「頂上から見る景色が、きれいでさ・・・」

絶景が見えるわけじゃない。
それなのに、そこに陣取り、遠くを眺めていた。
S904
(No.904完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| |

« [No.904-1]そこに山があるから | トップページ | ホタル通信 No.392 »

(037)小説No.901~925」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« [No.904-1]そこに山があるから | トップページ | ホタル通信 No.392 »