[No.901-2]父の仕事
No.901-2
「タイトルがなかったら、何だか分からなかったよ」
そこには働く父が描かれていた。
母親曰く、実際に勤め先まで行って書いたらしい。
「そうなの!?」
「けど、全然記憶になくて・・・」
父は工場で、設備関係の保守をしていたらしい。
絵にもそれらしい雰囲気が出ていた。
「煙突がたくさん描いてあったよ」
「工場だけにね」
手には工具らしき物を持っていた。
「よく観察してるな」
「よほど印象に残っていたみたいね」
その時、気付いた。
父の仕事を、“今”知ったと。
「正しくは・・・忘れてた・・・だけどね」
「無理もないさ」
いつの頃からか、父と距離が生まれ始めた。
結局、それは最後まで解消できなかった。
「そうなんだ・・・ところで、その絵は?」
「せっかくなんで飾ってる」
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