[No.898-2]見送る背中
No.898-2
「じゃぁ、俺も行くわ」
仕事の都合で今日から遠距離恋愛が始まる。
「見送りはいいから」
「・・・うん、分かった」
どこで見送られようが、場所は関係ない。
一秒でも一緒に・・・という時期は良い意味で過ぎている。
「向こうに着いたら連絡するよ」
「気をつけてね」
シチュエーションは違うが見送られるとはこういうことだ。
さっきの母親と同じように彼女もきっと・・・。
(もう少し歩いてから振り向いてみるか・・)
期待を膨らませて、さりげなく振り返る。
「・・・え・・・えぇ~!!」
そこに彼女の姿はなかった。
悲しいけど現実はこうなのかもしれない。
「いってらっしゃいぃ!!」
どこからともなく彼女の声が聞こえてきた。
「ここよ、ここ!」
マンションの廊下から彼女が手を振っている。
| 固定リンク | 0
「(036)小説No.876~900」カテゴリの記事
- [No.900-2]暖かくなると・・・(2019.03.03)
- [No.900-1]暖かくなると・・・(2019.03.02)
- [No.899-2]YATAI(2019.03.01)
- [No.899-1]YATAI(2019.02.28)
- [No.898-2]見送る背中(2019.02.12)
コメント