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[No.898-1]見送る背中

No.898-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
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「いい光景ね」
「・・・そうだな」

とある母親が玄関先で、遠くを見つめている。
その視線の先は、多分、歩いている女の子だろう。

「中学生かしら?」
「そんな感じだね」

女の子は振り向きもせず、前を向いて歩いている。
母親のことは気付いているのだろうか・・・。

「難しい年頃だからね」
「逆に“ウザイ”って感じてるかも」

何となく自分の経験を重ねているように聞こえる。

「君もそうだった?」
「・・・どうだろうね」

女の子が曲がり角を曲がる。
それを見届けてから、母親は家に入っていった。

「いいお母さんね」

いつかその女の子も気付くだろう・・・。
そう言いたげな表情が印象的だ。

「あぁ・・・」

見守られているとは、まさにこんなことを言うのだろう。

「ふぅ~」

なぜだか、一度深呼吸したくなった。
今朝はやけに冷え込む・・・吐く息がいつにも増して白い。

(No.898-2へ続く)

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