« ホタル通信 No.387 | トップページ | [No.895-2]消えた四千円 »

[No.895-1]消えた四千円

No.895-1     [No.756-1]出世の神様

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「ねぇ、早くぅ!」
「急いだって何も変わらないだろ?」

約二年ぶりにここに来た。

「こういうことは早いほうがいいの!」
「ほら、早く早く!」

前と同じように、僕の財布からお金を抜き取った。

「二千円!?」
「もちろん、私も出すわよ」

今回は額を二倍にした。

「少しは上乗せしておかないとね!」
「神様はお金じゃ動かないだろ?」

昇進試験に落ちたわけじゃない。
けど、色々と制限があり、一旦、その道が閉ざされていた。

「でも、これくらいは必要よ」

まさか、もう一度道が開かれるとは思っていなかった。
ある意味、お賽銭の効果だったのかもしれない。

「じゃ、入れるわね」

強引に見えても、僕以上に僕のことを心配している。
欲ではなく、純粋に僕を応援してくれている。

「あぁ、いいよ」

硬貨ではない分、いつもの軽快な音は聞こえなかった。

(No.895-2へ続く)

| |

« ホタル通信 No.387 | トップページ | [No.895-2]消えた四千円 »

(036)小説No.876~900」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: [No.895-1]消えた四千円:

« ホタル通信 No.387 | トップページ | [No.895-2]消えた四千円 »