[No.895-1]消えた四千円
No.895-1 [No.756-1]出世の神様
登場人物
男性=牽引役 女性=相手
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「ねぇ、早くぅ!」
「急いだって何も変わらないだろ?」
約二年ぶりにここに来た。
「こういうことは早いほうがいいの!」
「ほら、早く早く!」
前と同じように、僕の財布からお金を抜き取った。
「二千円!?」
「もちろん、私も出すわよ」
今回は額を二倍にした。
「少しは上乗せしておかないとね!」
「神様はお金じゃ動かないだろ?」
昇進試験に落ちたわけじゃない。
けど、色々と制限があり、一旦、その道が閉ざされていた。
「でも、これくらいは必要よ」
まさか、もう一度道が開かれるとは思っていなかった。
ある意味、お賽銭の効果だったのかもしれない。
「じゃ、入れるわね」
強引に見えても、僕以上に僕のことを心配している。
欲ではなく、純粋に僕を応援してくれている。
「あぁ、いいよ」
硬貨ではない分、いつもの軽快な音は聞こえなかった。
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「(036)小説No.876~900」カテゴリの記事
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