[No.894-2]雲の切れ間
No.894-2
「向こうで何かあった?」
「・・・だから、帰省したんでしょ?」
多分、そうだと思う。
他人事のような言い方になるが・・・。
「そうね・・・たぶん」
ただ、これと言った悩みや不安が見当たらない。
東京での生活も、そこそこ満喫できている。
「それが悩みなのかもしれないよ」
「・・・贅沢な悩み」
そうなのかもしれない。
なにもかも普通過ぎて、逆に充実感や達成感がない。
「思い切って、告白でもしてみたら?」
「好きな人くらいは居るんでしょ?」
確かに、居ないことはない。
「当たって砕けてみたら?」
「玉砕が前提!?」
けど、それもいいかもしれない。
もしかしたら、何かが変わる可能性がある。
「ほら・・・空だって」
雲の切れ間から、一筋の光が差し込んできた。
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