[No.890-2]ガラクタ
No.890-2
「便利だろ?」
とは言え、作り自体はかなり雑だ。
「どうしたのこれ?」
「何でも幼稚園で作ったものなんだってさ、母親いわく」
先週、実家に帰った時に、渡されたらしい。
「他にも色々あったよ」
今までこれらの存在を知らなかったようだ。
「なんでも“終活”の一環なんだってさ」
「全く・・・縁起でもない」
確かに世の中は終活ブームとも言える。
知らず知らずのうちにそれに巻き込まれた感じだろう。
「けど良かったじゃん!」
「どこがだよ!?」
彼としては、お宝のひとつも期待していたらしい。
結局、出てきたのはそれとは程遠い物ばかりだった。
「まぁ、よく持ってたなと思うよ、こんなガラクタ」
「それが母親ってものよ」
将来渡そうと大切に持っていたに違いない。
「もう一度言うけどガラクタばかりだよ?」
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