[No.888-2]クリスマスツリー
No.888-2
「随分と年季が入ったツリーだったな」
別に汚れているとか、壊れているとかではない。
いわゆる“年代モノ”の雰囲気が漂っていた。
「ただ、ツリーが飾られると」
ご馳走だとか、プレゼントだとか、そっちを意識し始める。
ツリーのスイッチと共に、僕もスイッチが入る。
「うまいこと言うわね」
ささやかながら、普段とは違う料理にありつけた。
「そうね・・・うちもそんな感じ」
見慣れているはずのツリーでも、今年は何だか感慨深い。
「二人で見てるからじゃない?」
「・・・かもな」
これからは、ずっと二人で見ることになる。
「・・・ごめん、突然だけど実家に電話してもいい?」
「もちろん!」
無性に実家に電話したくなった。
彼女も何かを悟ったようで、笑顔で応えてくれた。
「・・・もしもし・・・あ、俺・・・変わりない?」
「いや・・・別に・・・どうしてるかな?・・・って」
(No.888完)
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