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[No.886-1]不思議なエレベーター

No.886-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
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「・・・」

今年はこれで何回目だろうか?
相変わらず人影は見えない。

「・・・ちょっと、やめてよ」
「でも、事実なんだもん!」

こう何度も続くと、色々と考えたくもなる。

「誰かが呼んだんでしょ?」
「私も最初はそう思ってた」

エレベーターに向かうと、タイミングよく扉が開く。
まるで私を待っていたかのように。

「ポイントは“開く”ことなんだよね」

人が近づいたら自動で開く機能は付いていない。
それは普段使っていれば分かる。

「普通、呼ぶから開くじゃない?」
「まぁ・・・そうね」

だから、最初は誰かが呼んだものだと思っていた。

「で、呼んだのはいいけど」
「何かの事情でその場を離れてしまった・・・とか」

そう考えるのが妥当だ。

「けどね、一度も人が立ち去る所を見たことがなくて」

エレベーターはマンションの入り口のすぐそばにある。
決して人目に付き難い場所にあるわけじゃない。

(No.886-2へ続く)

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