[No.886-1]不思議なエレベーター
No.886-1
登場人物
女性=牽引役 女性=相手
-----------------------------
「・・・」
今年はこれで何回目だろうか?
相変わらず人影は見えない。
「・・・ちょっと、やめてよ」
「でも、事実なんだもん!」
こう何度も続くと、色々と考えたくもなる。
「誰かが呼んだんでしょ?」
「私も最初はそう思ってた」
エレベーターに向かうと、タイミングよく扉が開く。
まるで私を待っていたかのように。
「ポイントは“開く”ことなんだよね」
人が近づいたら自動で開く機能は付いていない。
それは普段使っていれば分かる。
「普通、呼ぶから開くじゃない?」
「まぁ・・・そうね」
だから、最初は誰かが呼んだものだと思っていた。
「で、呼んだのはいいけど」
「何かの事情でその場を離れてしまった・・・とか」
そう考えるのが妥当だ。
「けどね、一度も人が立ち去る所を見たことがなくて」
エレベーターはマンションの入り口のすぐそばにある。
決して人目に付き難い場所にあるわけじゃない。
| 固定リンク | 0
「(036)小説No.876~900」カテゴリの記事
- [No.900-2]暖かくなると・・・(2019.03.03)
- [No.900-1]暖かくなると・・・(2019.03.02)
- [No.899-2]YATAI(2019.03.01)
- [No.899-1]YATAI(2019.02.28)
- [No.898-2]見送る背中(2019.02.12)
コメント