[No.885-2]100円ライター
No.885-2
「まぁ、一種の“あるある”かもしれないね」
「そう言ってくれたら助かるよ」
そしていつも手元に残るのは100円ライターだ。
「それに・・・ほら、みてみなよ」
「残り少ないだろ?」
無くすどころか、毎回使い切っている。
「・・・ほんとだ」
言い方はおかしいが、大事に使っているわけじゃない。
どちらかと言えば扱いはかなり雑だ。
「でも無くならないんだよな・・・」
「そういうものじゃない?」
大事にするほど、無くしてしまう。
逆に、どうでもいいモノは無くならない。
「なんか、人生と言うか・・・」
「そうね、言いたいことは分かるよ」
たばこの話が別の話になってしまった。
「じゃぁ、私は“大事にされてた”のかしら?」
何ともイジワルな質問だ。
そっちがその気なら・・・。
「一度だけ、無くしたモノが見つかったことがあるよ」
「・・・たった今」
(No.885完)
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