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2018年12月

ホタル通信 No.384

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.412 昔のケータイ
実話度:★☆☆☆☆(20%)
語り手:女性

この小説は作者自身の経験と他人の経験を少しだけつまんで作りました。従って、つぎはぎ風な仕上がりです。

まず、昔のケータイですが、今でもそれを持っています。実はスマホに買い換える直前のケータイは捨ててしまいました。
ですから、今でも持っているのはふたつ前のケータイで、小説上は、2世代前としています。
では、なぜ、古い方のケータイを持っているのでしょうか?その答えは単純明快です。彼との思い出が詰まっているからです。
もうひとつ言える事は、その次のケータイは捨ててしまったわけですから、それには思い出は詰まっていないことになります。
早い話、直前のケータイを持っていた時期には、彼とは別れていました。

目覚まし時計代わりに使っていたのは、他人の話です。身近な人にそんな人がいます。特に何か便利なわけではなく、昔からケータイを目覚まし時計代わりに使っていた習慣が、今でも残っているそうです。
とは言え、目覚まし音が鳴るわけでもなく、バイブのブルブル音と振動で目覚めているようです。

この小説は、このふたつの話をくっ付けて、それらしく構成しました。今使っているスマホは・・・捨てられるのかな?
T384
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[No.888-2]クリスマスツリー

No.888-2

「随分と年季が入ったツリーだったな」

別に汚れているとか、壊れているとかではない。
いわゆる“年代モノ”の雰囲気が漂っていた。

「ただ、ツリーが飾られると」

ご馳走だとか、プレゼントだとか、そっちを意識し始める。
ツリーのスイッチと共に、僕もスイッチが入る。

「うまいこと言うわね」

ささやかながら、普段とは違う料理にありつけた。

「そうね・・・うちもそんな感じ」

見慣れているはずのツリーでも、今年は何だか感慨深い。

「二人で見てるからじゃない?」
「・・・かもな」

これからは、ずっと二人で見ることになる。

「・・・ごめん、突然だけど実家に電話してもいい?」
「もちろん!」

無性に実家に電話したくなった。
彼女も何かを悟ったようで、笑顔で応えてくれた。

「・・・もしもし・・・あ、俺・・・変わりない?」
「いや・・・別に・・・どうしてるかな?・・・って」
S888
(No.888完)
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[No.888-1]クリスマスツリー

No.888-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「わぁ~綺麗ね!」

この時期、街はクリスマスツリーで溢れかえっている。

「こっちなんか、ほら・・・」

飾り付けが一番と華やかだ。
まさしく王道と言えるツリーだろう。

「こっちも凄いよ!」

彼女が僕の手を引く。

「幻想的だね」
「・・・うん」

派手さはないが、ホワイトクリスマスにピッタリなツリーだ。
大人な落ち着きを感じる。

「・・・家にはあった?」
「あったよ、それほど大きくはないけど」

“それほど”が気にならなくもない。

「あなたは?」
「まぁ・・・とりあえずあったよ」

高さにすれば、1メートルもなかったと思う。
それが大きいのか小さいのかは判断できない。

「毎年、時期になると・・・」

押入れの奥から、それが入った箱を取り出す。
それから、おもむろに飾り付けを施して行く。

(No.888-2へ続く)

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[No.887-2]水泳の時間

No.887-2

「・・・それにしても、地獄だったわね」
「うん・・・言えてる」

泳げない者にとっては、これほど嫌な時間はない。
単に恥ずかしいだけじゃないからだ。

「何度か溺れかけたよ」
「私も」

もちろん、足が付くから大事には至らない。
けど、ジタバタしている時はそのことすら忘れている。

「大笑いされるし、苦しいし・・・」
「ほんと、トラウマになってる」

それもあってか、海やプールに泳ぎに行くことはない。
今でも泳げないのは変わらないからだ。

「泳げる子がうらやましかったな・・・」

だからと言って、親に助けを求めたりしなかった。
別に親が嫌いとか反抗とかしているわけじゃなかったのに。

「まぁ、子供心に何か感じてたのかもね」
「そうね・・・心配かけまいと」

結局、無様だった水泳の時間を気合でやり過ごした。

「お陰で、心の強さだけは“カナヅチ”級ね!」
S887
(No.887完)
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[No.887-1]水泳の時間

No.887-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「水泳の時間は超・・・嫌だったな」
「・・・私も」

思わぬところで、意気投合した。
泳げない者同士のキズの舐め合いにも似ている。

「泳げないことよりも・・・」
「“なんでみんな泳げるの”でしょ?」
「そう!それそれ!」

根深い部分も同じみたいだった。

「親とかに教えてもらってたんだろうね」
「・・・多分ね」

当時、世にスイミングスクールがなかったわけじゃない。
だから断言は出来ないが。

「そう言えば、“見学組”は居なかった?」
「あぁー!いたいた!」

その子たちが、泳げないのかどうかは不明だ。

「あれは絶対、仮病よね!?」

時には見学どころか、学校を休む時さえあった。
よほど、水泳が嫌いなんだろう。

「私たちも見学すれば良かったね」

そうしなかったのは、褒めてもらいたいところだ。

(No.887-2へ続く)

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ホタル通信 No.383

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.413 初恋の基準
実話度:☆☆☆☆☆(00%)
語り手:女性

特筆すべき、きっかけがない小説です。一般論的な内容を小説にした感があります。

とは言え、多少、経験談にもとづいているというか、小学生の頃のエピソードは全くの創作でもありません。今回、小説抜きで初恋がいつだったのか、あらためてに振り返ってみました。結論から言えば、小学2年生の時でした。
具体的に“好き”だと言う感覚を持ったのは3年生の時でしたが、単なるクラスメートとは違う気持ちを持ち、その人のことを今でも覚えているのは2年生の時の女子でした。

今振り返っても、初恋の基準は曖昧です。でも、あえて白黒を付ける必要もありませんよね。
今回の小説は、その基準をめぐっておもしろおかしく仕上げたものです。いつも通り、登場人物に会話を預けて書き進めていましたが、何とかそれらしいオチが付いて終わることができました。
ちなみに、小5の失恋話は創作ですが、それに似た状況下にあったことは事実です。

初恋の話は、小説ネタとして比較的扱いやすいほうです。
一方で、そんなにドロドロした濃い内容にならず物足りない側面もありますが。
T383
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[No.886-2]不思議なエレベーター

No.886-2

「うぅん・・・・」

友人がそうなるのも理解できる。

「断定は出来ないけど」

ボタンが押された雰囲気もない。
もし押したのなら、ランプが付いているはずだ。

「ただ、タイミング的に」

1階に到着したので、消えてしまった可能性もある。
それを私が見ていないだけかもしれない。

「そうに決まってるよ!」

出来れば私もそう思いたい。

「・・・何か変な現象とかは?」
「それは全くないよ」

何かを見たとか、気配を感じるとか・・・そんなことは全くない。
扉がタイミングよく開いたに過ぎない。

「別に嫌な気分にわるわけじゃないし」
「・・・ある意味、便利よ」

不思議な現象だけで、実害はなにもない。

「ただ・・振り返るとね」

私が仕事でクタクタになっている時にそんなことが起きる。

「そう言えば、お母さんも・・・」

私が帰宅すると、玄関の扉を開けてくれたっけ。
S886
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[No.886-1]不思議なエレベーター

No.886-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「・・・」

今年はこれで何回目だろうか?
相変わらず人影は見えない。

「・・・ちょっと、やめてよ」
「でも、事実なんだもん!」

こう何度も続くと、色々と考えたくもなる。

「誰かが呼んだんでしょ?」
「私も最初はそう思ってた」

エレベーターに向かうと、タイミングよく扉が開く。
まるで私を待っていたかのように。

「ポイントは“開く”ことなんだよね」

人が近づいたら自動で開く機能は付いていない。
それは普段使っていれば分かる。

「普通、呼ぶから開くじゃない?」
「まぁ・・・そうね」

だから、最初は誰かが呼んだものだと思っていた。

「で、呼んだのはいいけど」
「何かの事情でその場を離れてしまった・・・とか」

そう考えるのが妥当だ。

「けどね、一度も人が立ち去る所を見たことがなくて」

エレベーターはマンションの入り口のすぐそばにある。
決して人目に付き難い場所にあるわけじゃない。

(No.886-2へ続く)

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[No.885-2]100円ライター

No.885-2

「まぁ、一種の“あるある”かもしれないね」
「そう言ってくれたら助かるよ」

そしていつも手元に残るのは100円ライターだ。

「それに・・・ほら、みてみなよ」
「残り少ないだろ?」

無くすどころか、毎回使い切っている。

「・・・ほんとだ」

言い方はおかしいが、大事に使っているわけじゃない。
どちらかと言えば扱いはかなり雑だ。

「でも無くならないんだよな・・・」
「そういうものじゃない?」

大事にするほど、無くしてしまう。
逆に、どうでもいいモノは無くならない。

「なんか、人生と言うか・・・」
「そうね、言いたいことは分かるよ」

たばこの話が別の話になってしまった。

「じゃぁ、私は“大事にされてた”のかしら?」

何ともイジワルな質問だ。
そっちがその気なら・・・。

「一度だけ、無くしたモノが見つかったことがあるよ」
「・・・たった今」
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[No.885-1]100円ライター

No.885-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「・・・たばこ止めてないんだ?」

最近、何かと風当たりが強いのは理解している。
それに金銭的にも楽ではない。

「それなら、止めればいいのに」
「そう簡単に行かないよ」

同窓会に来てまで、元カノの小言を聞く羽目になった。
相変わらずの性格だ。

「私がプレゼントしたライターはどうしたの?」
「えっ!?あ、あれは・・・」

まず、覚えていることに驚いた。
とっくに忘れているものだと思った。

「そう、驚かないでよ」
「無くした?それとも・・・捨てた?」

後者の言葉が、やや強めだったのが気になる。

「ごめん、無くした・・・」

この場を逃れるための嘘ではない。
本当に無くした。

「そう・・・」
「で、でも君からもらったモノだけじゃなくて・・・」

なぜか、100円ライター以外のモノを無くしてしまう。
逆に言えば、100円ライターは無くさない。

「自分で買ったライターも・・・」

気付けば無くなっている。
置き忘れたのかどうかさえ分からない。

(No.885-2へ続く)

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