[No.884-1]なげる
No.884-1
登場人物
女性=牽引役 女性=相手
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「これ、どうすればいい?」
「なげておいて頂ければ」
以前から、疑問に思っていた。
彼女には悪いが、ちょっと試させてもらった。
「どこに?」
「・・・そこのゴミ箱でいいですけど」
どうやら、ゴミ箱に入れればいいようだ。
「じゃ、捨てておくね」
「お願いします」
彼女は今年の新人だ。
長い研修期間を経て、うちの部署に配属されてきた。
「やっぱりね!」
思わず、口に出てしまった。
やはり、思っていた通りだった。
「えっ!?な、なにがですか・・・」
彼女がキョトンとした顔をする。
「ごめん、ごめん」
「前から疑問に思っててさぁ・・・」
彼女に事情を話した。
「さっきも、“なげる”って言ってたじゃない?」
「あっ・・・はい」
当の本人は何のことだか分かっていないだろう。
方言とはそんなものだ。
「通じないわよ、それ」
今度はハッとした顔をした。
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