« [No.881-1]そこにもここにも | トップページ | [No.882-1]同じ生き物だから »

[No.881-2]そこにもここにも

No.881-2

「見てみなよ」

やはり視線はその女子に向けたまま、彼女に声を掛ける。
一瞬たりとも変顔を見逃したくないからだ。

「だから、そこまでしなくても・・・」

赤ちゃんどころか、僕まで笑いそうになる。
やはり、高校生と言えども・・・。

「母性でも刺激されたのかな~」
「どう思う?」

ここは同じ女性に聞くのが一番だ。

「何が?」
「何がって・・ほら、赤ちゃんを目の前にするとさぁ・・・」

そうこう話しているときも、変顔の勢いは止まらない。
周りからもクスクスと笑い声が出始めた。

「やっぱり、母性が・・・」

そう言いながら彼女に目を向けた。

「・・・なにやってんだよ!?」
「何って、見ての通り、変顔よ?」

僕には目もくれず、一心にどこかに変顔を送っている。
その先には、別の赤ちゃんがいた。
S881
(No.881完)
読み
終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
 ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| |

« [No.881-1]そこにもここにも | トップページ | [No.882-1]同じ生き物だから »

(036)小説No.876~900」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: [No.881-2]そこにもここにも:

« [No.881-1]そこにもここにも | トップページ | [No.882-1]同じ生き物だから »