[No.881-2]そこにもここにも
No.881-2
「見てみなよ」
やはり視線はその女子に向けたまま、彼女に声を掛ける。
一瞬たりとも変顔を見逃したくないからだ。
「だから、そこまでしなくても・・・」
赤ちゃんどころか、僕まで笑いそうになる。
やはり、高校生と言えども・・・。
「母性でも刺激されたのかな~」
「どう思う?」
ここは同じ女性に聞くのが一番だ。
「何が?」
「何がって・・ほら、赤ちゃんを目の前にするとさぁ・・・」
そうこう話しているときも、変顔の勢いは止まらない。
周りからもクスクスと笑い声が出始めた。
「やっぱり、母性が・・・」
そう言いながら彼女に目を向けた。
「・・・なにやってんだよ!?」
「何って、見ての通り、変顔よ?」
僕には目もくれず、一心にどこかに変顔を送っている。
その先には、別の赤ちゃんがいた。
(No.881完)
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