« 2018年10月 | トップページ | 2018年12月 »

2018年11月

ホタル通信 No.382

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.403 時は流れる
実話度:★★☆☆☆(40%)
語り手:女性

何だかとってつけたような小説ですね。特にラストは、明らかに狙っています。

話のきっかけは、小説の通り、お気に入りだったホームページとカフェではなく、パスタの店が姿を消したことです。カフェにしたのは、この単語だけで雰囲気も伝わると考えたからです。
意外にショックだったのが、ホームページ・・・ある人のブログが閉鎖したことでした。
予告があったわけではなかったので、ある日突然の出来事でした。特に親しい間柄ではなかったのですが、それでも交流はありました。

話はそれますが、このブログを始めてから、来年で10年目に突入しようとしています。その間、交流があったいくつかのブログの更新が止まりました。
皆さんのブログを見るのもひとつのルーチンみたいなものでしたから、やはり寂しいものでした。

今回の話はそれを、わざとらしいほど強調して書いています。実は転勤と重なったのも事実で、だからこそ、一種の転機のようなものを感じていました。
冒頭に書いた“とってつけた”感のラストは、何でも恋愛に結び付けようとする、当ブログの悪いクセですね。
T382
web拍手 by FC2

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

[No.884-2]なげる

No.884-2

「もしかして、“なげる”ですか・・・」
「もしかしなくても、そうよ」

意味不明な方言ではない分、余計に混乱していた。
それ自体は、一般的な言葉だからだ。

「ほら、この前・・・」

ダンボール箱を彼女に捨てるようお願いしたことがあった。
その時・・・

「元気良く、“なげてきます!”って言ったじゃない?」
「ストレスでも溜まってるのかと思ったよ」

放り投げて、それでスッキリするのなら・・・と思ったくらいだ。

「す、すみません・・・全然気付かなくて」
「北海道弁?」

彼女が小さくうなづいた。

「ごめんね、指摘しちゃって」

彼女も営業の職に付く。
取引先に勘違いさせるわけにも行かない。

「本当に“投げられたら”大変ですよね」
「そういうこと」

標準語と方言を使い分けてこそ社会人だ。

「あの・・・」
「なに?」

彼女が恐る恐る質問してきた。

「先輩の・・・ってどういう意味でしょうか?」
S884
(No.884完)
読み
終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
 ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

[No.884-1]なげる

No.884-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「これ、どうすればいい?」
「なげておいて頂ければ」

以前から、疑問に思っていた。
彼女には悪いが、ちょっと試させてもらった。

「どこに?」
「・・・そこのゴミ箱でいいですけど」

どうやら、ゴミ箱に入れればいいようだ。

「じゃ、捨てておくね」
「お願いします」

彼女は今年の新人だ。
長い研修期間を経て、うちの部署に配属されてきた。

「やっぱりね!」

思わず、口に出てしまった。
やはり、思っていた通りだった。

「えっ!?な、なにがですか・・・」

彼女がキョトンとした顔をする。

「ごめん、ごめん」
「前から疑問に思っててさぁ・・・」

彼女に事情を話した。

「さっきも、“なげる”って言ってたじゃない?」
「あっ・・・はい」

当の本人は何のことだか分かっていないだろう。
方言とはそんなものだ。

「通じないわよ、それ」

今度はハッとした顔をした。

(No.884-2へ続く)

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

[No.883-2]人待ち顔の猫

No.883-2

「もしかして、人待ちなのかな?」

ちゃっかり、エサにありつけているのかもしれない。
なにせ、学校の近くだ。

「誰かエサでもあげてるんじゃないのかな~」
「私もそう思うんだけど」

ただ、ひとつ引っ掛かることがある。
私の登校時間は結構遅い方だ。

「どういうこと?」
「だって、ほとんどの生徒は登校済でしょ?」

もし、私より前に登校する人がエサをあげているとしたら・・・
もう待つ必要はないはずだ。

「見事な推理ね」
「だから、私より遅い人・・・ってことね」

もちろん、学生じゃない可能性もある。
けど、あの時間、あの場所ならそう考えるのが妥当だ。

「そう思わない?」

あんな薄汚い猫にかかわるくらいだ。
よほど猫好きで遅刻寸前に教室飛び込んでくるやつだろう。

「どう私の推理は?」
「・・・あれ?・・・そう言えば・・・」
S883
(No.883完)
読み
終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
 ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

[No.883-1]人待ち顔の猫

No.883-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
(仲間でも待ってるのかな?)

気になりつつも、かまっている時間はない。

「知ってるよ」

学校の近くに、半年前から一匹の猫が棲みついている。
そいつには悪いが、かなり薄汚い。

「何かあったの?」
「ううん、逆に何もないんだけど・・・」

ここ数日、毎日のように顔を合わせるようになった。

「なんか、落ち着かないんだよね」
「あんたが?」
「そう!・・・って、違うわよ!」

一応、ノリツッコミで返した。
落ち着かないのはその猫の方だ。

「な~んだ」
「あのね・・・」

何かを待っているのだろうか?
私には、キョロキョロしているように見える。

「へぇ~そうなんだ」
「仲間でも待ってるのかな?」

とは言え、他の野良猫を見掛けたことがない。

(No.883-2へ続く)

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

ホタル通信 No.381

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.415 口癖
実話度:☆☆☆☆☆(00%)
語り手:男性

ホタル通信を書く都合上、読み返してみましたが・・・意味が良く分からない小説ですね、自分で言うのも変ですが。

小説の“きっかけ”となるものは存在しますが、それが何であるかは覚えていません。多分、タイトルの口癖がそのきっかけだとは思いますが・・・。
とは言え、苦労して書き上げた記憶はないので、当時はきっかけをもとにスラスラ書けていたのでしょうね。ただ、スラスラと勢いだけで書いていると、何も印象に残らない小説が出来上がることがあります。

お互い、元カレと元カノの話を隠さずにしていたのは事実です。
ただ、小説上の私とその彼女は、正式なカップルではなく、少し説明し難い関係でした。だからこそ、隠さずに言えたわけです。
この小説を要約すれば、今が幸せだからこそ、昔の彼や彼女のことを思い出してしまうと言う、何とも上から目線の内容です。
ですから、未練があって思い出すのではなく、懐かしさからくるものです。

もっと違う形で作れば良かったのですが、基本的に作り直しはしないので、作り始めると後は登場人物に展開を任しています。
T381
web拍手 by FC2

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

[No.882-2]同じ生き物だから

No.882-2

「それでも何度も飛ばされそうになったわ」

それこそプランターごと持っていかれそうな勢いだった。

「けど、彼らの生命力も負けたもんじゃないのよ」

ネットのいたる所で、“ツル”が絡み付いている。
それが想像以上の力を発揮していた。

「“ツル”って、ゴーヤのだよね?」

友人が疑うのも無理はない。
私だって、驚いたくらいだ。

「特に、少し枯れ気味のツルなんてね・・・」

相当の力で引っ張っても切れない。
今回は、そのツルが活躍したと言っても良いだろう。

「恐るべし“ツル”よ」

言わば、何本もの手で、ネットにしがみついていた。
私だけじゃなく、彼ら自身の手で・・・。

「なんか、ちょっと感動しちゃった」
「・・・でもね」

強風の影響で、枯れるのが早まったのは間違いない。
痛々しい姿を今でも覚えている。

「だからさぁ・・・」

耐え抜いた彼らに、つい声を掛けてしまった。
見た目は違えど、人も植物も同じ生き物だ。
S882
(No.882完)
読み
終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
 ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

[No.882-1]同じ生き物だから

No.882-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「よく耐えたねぇ~」

本格的に枯れ始めたゴーヤを前に、労をねぎらった。

「さすがにもう成長しないよ」

成長どころか、半分以上はすでに枯れている。

「だろうね、この寒さじゃ」
「でも、今年は暑かったから」

10月中旬ごろまで収穫できた。

「ところで台風は大丈夫だった?」
「大丈夫じゃなかったわよ!」

完全に台風をなめていた。
今まで強風にあおられたことは何度もある。
けど、今回のはケタが違った。

「対策はしたんだけどね」

残念ながら、それがほとんど意味をなさなかった。

「だからもう一度ひもで縛って」
「室内から抑えてた」

棒やネットをひもで縛り、それを室内に引き込む。
あとはそれを人力で抑える。

「・・・なんか修羅場ね」
「まさしく、そうだった・・・」

約2時間ほど、強風と戦った。

(No.882-2へ続く)

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

[No.881-2]そこにもここにも

No.881-2

「見てみなよ」

やはり視線はその女子に向けたまま、彼女に声を掛ける。
一瞬たりとも変顔を見逃したくないからだ。

「だから、そこまでしなくても・・・」

赤ちゃんどころか、僕まで笑いそうになる。
やはり、高校生と言えども・・・。

「母性でも刺激されたのかな~」
「どう思う?」

ここは同じ女性に聞くのが一番だ。

「何が?」
「何がって・・ほら、赤ちゃんを目の前にするとさぁ・・・」

そうこう話しているときも、変顔の勢いは止まらない。
周りからもクスクスと笑い声が出始めた。

「やっぱり、母性が・・・」

そう言いながら彼女に目を向けた。

「・・・なにやってんだよ!?」
「何って、見ての通り、変顔よ?」

僕には目もくれず、一心にどこかに変顔を送っている。
その先には、別の赤ちゃんがいた。
S881
(No.881完)
読み
終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
 ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

[No.881-1]そこにもここにも

No.881-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
斜め前の席に高校生らしき女の子が座っている。
さっきから、こちらをチラチラ見ている。

「何だろうね」

視線はその女の子に向けたまま、彼女に問い掛けた。

「どうしたの?」
「さっきから、チラチラ見られてるんだよね」

ただ、目が合ったりすることはない。
視線の角度が違うというか・・・やや下向きだ。

「ん?」

今度は女の子が変顔をし始めた。
その瞬間、あることに気付いた。

「あっ・・・なるほどね」

僕と女子の間に、赤ちゃんが座っている。

「結構、全力でするよな」

変顔に合わせて、喜ぶ赤ちゃんの声が聞こえる。
すると、さらに変顔のレベルが上がる。

「プッ!・・・それはやりすぎだよ!」

ますます喜ぶ声が大きくなる。

(No.881-2へ続く)

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

ホタル通信 No.380

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.492 変わっていなかったもの
実話度:★☆☆☆☆(20%)
語り手:男性

結論から言えば、この小説はその女性を軽く、ディスっていることになります。

小説では、中学校が同じだったとなっていますが、実は幼稚園から同じでした。ただ、小説にあるように特に親しいわけではなく、どちらかと言えば親同士のつながりの方が大きかったように思えます。
同じ町内会ではなかったのですが、それに似た何らかの繋がりがあり、親からその女性の話題をたまに聞かされていました。
今でもその女性の名前は覚えています。少し珍しい苗字なのでそれも覚えている理由のひとつです。

ですから、その名簿を見た時、「あー!」となったわけです。もちろん、懐かしさもありますが、それ以上に卒業して・・・年も経過しているのに、苗字が変わっていなかったことに驚きました。
冒頭、軽くディスっていると書きましたが、あえて説明する必要もないと思います。

今は母校から手紙などが届くこともなくなり、親からもその女性の話題を聞くこともなくなりました。
それはそれで、ちょっと寂しいような気がします。でも、ホームページを持っているので、そこから今の姿を知ることはできます。
T380
web拍手 by FC2

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

[No.880-2]憎めない存在

No.880-2

「なんで分かるの?」
「まぁ、女の勘ね!」

確かに年齢的にはそんな感じがする。

「声は覚えてる?」
「覚えてるけど、それ以上に・・・」

友達感覚のしゃべり方であれば、その子に間違いない。

「じゃ、呼んでみようか?」
「ちょ、ちょっと・・・」

時すでに遅く、その子にお冷のおかわりを頼む。
ほどなくして、それがテーブルに届いた。

「・・・多分、そうね」
「だな」

声を知らない彼女でさえ、そう断定できる。

「確かにフレンドリーね」
「けど、全然、嫌な感じがしないから不思議」

彼女も受け入れられるようだ。

「だろ?でも、分かる気がする」

本人を目の前にして、余計そんな気になった。

「憎めない人ね」
「あぁ、全く・・・」

そんな彼女もその一人だ。

「ん?何か言った?」
S880
(No.880完)
読み
終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
 ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

[No.880-1]憎めない存在

No.880-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
一般的にはアウトかもしれない。
でも、なぜか気分を害さないから不思議だ。

「昨日、この店に予約を入れたんだけど・・・」
「・・・何かあった?」

ダメもとで予約してみた。
すると、前日にもかかわらず席が確保できた。

「席が空いてて驚いたんだけど」
「それ以上に驚くことがあって」

店の人には悪いが、いわゆる高級店ではない。
とは言え、極端にカジュアルでもない。

「なになに!?」

予約の電話には女の人が対応してくれた。

「その人の対応がさぁ・・・」

悪く言えば、馴れ馴れしい。
良く言えば、フレンドリーな言葉遣いだった。

「友達以上に友達と話しているみたいだったよ」

ただ、不思議と嫌な感じにならなかった。
むしろ、笑みがこぼれてしまうほどだった。

「なんか、ひょうひょうと対応するんだよね」
「いるよね、そんな人」

客によっては激怒されるかもしれない。
そんな危険性はあるだろう。

「多分、あの子じゃない?」

彼女がひとりの店員を、こっそりと指差した。

(No.880-2へ続く)

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

[No.879-2]世界の終わり

No.879-2

「・・続きでしょ?」
「あっ、うん・・・」

たかが夢の話だ、遠慮する必要はない。

「それが不思議と誰も死なない」
「地上がメチャクチャになっても」

それは私も同じだ。
なぜか、生き延びている。

「まぁ、夢だから“何でも有り”だよね?」

突拍子もないことや、理屈では説明できないことが起きる。
それが夢だ。

「それを聞いてちょっと安心した」
「だって、私も無関係じゃないわけだし」

大袈裟だが、確かにそう言えなくもない。

「そうね、同じ地球人として」

逃げ惑う人々の中に、友人も含まれているのだろう。
姿は見えなくとも。

「でも、どんな意味があるんだろうね?」
「・・・そうね」

夢占いでどうでているのか、気にはなる。
でも、夢が夢だけに調べる気になれない。

「でも、殺される夢を見たことがあるけど」
「なぜか死なないんだよね」

経験がないことは、夢でも経験できない。
つまり、死んだ経験がないから、夢でも死なない。
そんなことを聞いたことがある。

「だから、地球は滅びないし」
「私たちも死なない!」
S879
(No.879完)
読み
終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
 ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

[No.879-1]世界の終わり

No.879-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
少なくとも年に一回、ある夢を見る。
それを昨日見た。

「どんな夢?」
「一言で言えば、世界の終わり」

毎回、シチュエーションもよく似ている。

「そこまで好きなんだ!」
「・・・ん?・・・そ、そっちじゃない!!」

友人の反応に一瞬、考え込んでしまった。
メジャーなバンドのことじゃない。

「な~んだ・・・えっ!世界の終わり?」

今度は友人が、時間差で驚いている。

「そう!世界の終わり・・・」

突然、空が分厚い雲に覆われる。
そして、絵に描いたような渦を巻き始める。

「うわぁ・・・」

しばらくすると、真っ赤に燃えた無数の隕石が地上に降り注ぐ。
そして逃げ惑う人々・・・。

「決まって、このパターンで夢が始まるんだよね」

目が覚めても鮮明に覚えている。

「恐ろしい夢ね」

逃げ惑う人々の中に、当然、私も含まれている。

「あのさぁ・・・不謹慎だけど」

友人が聞きたいことは分かっている。

(No.879-2へ続く)

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2018年10月 | トップページ | 2018年12月 »