[No.874-1]まわりくどい話
No.874-1
登場人物
男性=牽引役 女性=相手
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「“甲羅干し”って、知ってる?」
案外、答えに困る。
知っていると言うより、見掛ける程度のレベルだ。
「亀・・・だよね?」
「そうだよ」
甲羅干しについて聞かれたことは初めてかもしれない。
これから先も、そう何度も聞かれることはないだろう。
「・・・飼ってないよね?」
「もちろん!逆に爬虫類は苦手・・・」
それなら、なぜこの話題なんだろうか。
「ほら、学校の近くにさぁ・・・」
確かに小川が流れている。
特別、綺麗な川ではないものの生き物で溢れている。
「亀も居るんだよね」
「知ってるよ、今時期、特に多いんじゃない?」
最近、甲羅干ししている亀を頻繁に見掛ける。
「日光に当たらないとダメなんだって」
「詳しくは知らないけど」
知らないくせに、あえてその話題を振ってくる。
「まさか・・・捕まえて来て欲しいとか?」
「だから、苦手だって!」
正直に言えば、僕も苦手だ。
でも、女子の手前、それは隠しておこう。
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