[No.866-2]茜色の空
No.866-2
そもそも家を出るのが遅かったのが真の原因だ。
ある意味、電車は“隠れ蓑”になっている。
「本当は・・・」
「電車が遅れなくても・・・」
罪の意識を感じる、大袈裟だけど。
「・・・間に合わなかった?」
「うん・・・」
あえて言わなくても良かったのかもしれない。
丸く収まっていたのだから。
「バカ正直ね」
いずれにせよ、今日は遅れて来る運命にあったようだ。
「だから、ごめん!」
「そこまで言うなら、いちおう怒っておこうかな?」
そういうと、僕の頭をコツンと叩いた。
「はい、これで終わり!」
「じゃ、どこに食べに行こうか?」
彼女とディナーの約束をした。
でも、あえて予約をせず、成り行きに任せることにしていた。
「そうだな・・・」
何となく、魚介系が食べたい気分だ。
「偶然!私も、そう!」
「じゃ、あの店で決まりだね」
茜色の空には、絵にかいたようなうろこ雲が広がっていた。
(No.866完)
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