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ホタル通信 No.372

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.481 電話の向こうで
実話度:★★☆☆☆(40%)
語り手:男性

その昔、あるところに、ひとりの女性が勤務していました。
その人は無愛想で有名な方でして・・・。

仕事で事務所に立ち寄るまでは、彼女とは面識がなく、ごく稀に電話する程度の関係でした。面識と言っても対面したわけではなく、「彼女が例の人か・・・」と、腫物を触るかのごとく遠くから見ていたのが実情です。
噂通りの無愛想な方で、事務的とはまた違う感じでした。悪く言えば高圧的に感じるし、要件が上手く伝えられないと「で、結局何が言いたいの?」と、逆ギレされそうな感じもあります。
経験と先入観から、ますます電話するのが苦手になり、そんな心の内が、相手にも届いてしまう・・・という、まさに悪循環の見本のような関係でした。

そんな時、彼女から思わぬ言葉が発せられました。当時は深くは考えなかったのですが、今思えば、なぜ僕のことを知ってたのか、不思議です。
事務所に立ち寄った時も、自己紹介したわけでもなく、「○月○日に○○さんが来る」程度の情報しかなかったはずです。
確かに、見掛けない顔の人が居ればその人を僕と思うかもしれません。でも、電話口では「もしかして来ましたよね?」ではなく「来てたでしょ?」と言われています。

他の人に「あの人、誰?」と聞いている可能性が濃厚ですがそれでも、少しでも興味を持ってくれたことで彼女との距離が少し縮まったような気がしました。
そんな彼女は、今、比較的近い距離で仕事をしています。
T372
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