[No.872-2]雨男の彼女だけに
No.872-2
「あの時・・・」
僕が家を出た瞬間、空模様が急激に変化した。
それまでは、そこそこ晴れていたのに。
「やっぱり!」
「なんだよ・・・その“やっぱり!”って」
予想された反応だけど、あっさりと認めたくない。
「だって・・・」
「時間的にそうなんじゃないかって思ってた」
待ち合わせの時間から逆算すればそうなるだろう。
「あの天気の変わりようだもん!」
「あなた以外に考えられないよ」
もちろん、単なる偶然に過ぎない。
ただ、状況によっては自信を失うこともある・・・今回のように。
「うぅ・・・」
特にゲリラ豪雨だっただけに、雨男が際立ってしまった。
「ごめん・・・俺のせいじゃないけど」
おかしな謝罪になった。
「相当、濡れただろ?」
自分自身もズブ濡れになってしまった。
自分が呼び寄せた雨に濡れた・・・何とも笑えない結果だ。
(ん?・・・いや、待てよ・・・)
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