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[No.863-1]今年の夏は

No.863-1     No.781-1  来年の夏も

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
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「それにしてもこの渋滞・・・何とかして欲しいよね」

友人の顔があからさまに不機嫌だ。

「仕方ないじゃん、お盆だもん」

広大な霊園にして、この車の量は半端じゃない。
さっきから全く動いていない。

「ようやく、バスに乗れたというのにねっ!」
「まぁまぁ・・・そう怒らないの」

送迎用のバスに乗り込むまでも大変だった。

「運転しない分、気楽でいいじゃん!」

特に帰路を急いでいるわけでもない。
それに、女性の運転手ということもあり、運転が丁寧だ。

「そう言えば、今年は何も起こらなかったわね?」
「・・・そうみたい」

不機嫌の原因は、多分、渋滞よりも、そこにあるのだろう。

「そりゃ、起こったら起こったで、アレだけど・・・」

毎年、共通の友人の墓参りに、ここを訪れる。
その時、必ずと言っていいほど不思議な現象が起こる。

「去年は、ちょうちょだっけ?」

墓参りの帰り道、一匹のもんしろちょうが寄ってきた。
まるで、私たちの歩調に合わせるかのように。

(No.863-2へ続く)

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