[No.862-2]私にも見える
No.862-2
「それと、もうひとつ・・・」
「なによ・・・神妙な顔しちゃって」
子供をあやすお母さんと彼女を重ねてみた。
「重ねて・・・?」
「・・・私がお母さん?」
彼女がキョトンとした顔をしている。
僕が彼女の立場だったら、そんな顔にもなるだろう。
「いや・・・その・・・ほら・・・」
「・・・で、重ねて見た結果はどう?」
今度は真剣な顔に変わった。
「えっ・・・うん、ピッタリ、重なった」
「そう!それは良かったわ」
ただ、言葉とは裏腹に、喜んでいるようには見えない。
今度は彼女が神妙な顔になってしまった。
「ごめん・・・なんか変なこと言って」
「・・・」
何も答えてはくれなかった。
「でも・・・」
「私には、あなたもあやしている姿が重なるけどな」
(No.862完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
| 固定リンク | 0
「(035)小説No.851~875」カテゴリの記事
- [No.875-2]「ふ」から始まる友達(2018.10.11)
- [No.875-1]「ふ」から始まる友達(2018.10.10)
- [No.874-2]まわりくどい話(2018.10.07)
- [No.874-1]まわりくどい話(2018.10.06)
- [No.873-2]曖昧な恋(2018.10.04)
コメント