[No.862-1]私にも見える
No.862-1
登場人物
男性=牽引役 女性=相手
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今時期、飛行機の中は、小さな子供連れが目立つ。
それもあってか、アチコチで泣き声が聞こえる。
「やっぱり気になる?」
彼女がおもむろに聞いてきた。
「・・・どうして?」
「だって、さっきから泣き声のする方をジッと見てるから」
そんなつもりはなかったが、どうやらそうらしい。
ただ、見ている先は鳴き声の“主”ではない。
「でも、“うるさい!”というわけじゃないからね」
場所が場所だけに、赤ちゃんは特に大変だ。
気圧の変化で、大人でさえ頭が痛い。
「ほんと、お母さんが大変だよな」
何とかあやそうとするも、そう簡単ではない。
誰かが泣くと、まるで連鎖反応のごとく、誰かが泣き始める
「あら、随分とやさしいのね?」
こんな時は、男はまるで役に立たない。
「母と言うか、女性は強いよなぁ~」
ひとり、ふたりと席を立つ人が目立ってきた。
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「(035)小説No.851~875」カテゴリの記事
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