[No.854-2]根はいい子
No.854-2
「落ち着いた?」
コクリ、と小さくうなづいて見せた。
「ごめんな、応戦しちゃって」
「ううん、私の方こそ・・・」
いつだって、彼はやさしい。
「僕だって、そんな時があるかもしれないし」
彼が私に寄せてくれた。
「本当にごめん・・・自分でも良く分からなくて」
女子特有のアレから来ているものでもない。
とにかく、ここ最近、いつも気持ちがモヤモヤしている。
「じゃぁ・・・遠出でもするか?」
「今週末は、ドライブ日和だし」
申し出はとても在り難いし、そうもしたい。
ただ・・・。
「・・・」
「大丈夫だよ」
私の気持ちを察してか、彼が声を掛けてくれた。
「音楽でも聞いていればいいよ・・・ボンヤリと」
「うん・・・ありがとう」
普通なら、愛想を尽かされても、おかしくはない状況だ。
自分の理不尽さを理解しているからだ。
「でも、どうしてこんなにやさしくしてくれるの?」
「根はいい子だと知ってるからさ」
(No.854完)
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