[No.852-2]昔見た景色
No.852-2
「それが、今じゃ・・・住んでるんだもんな」
数年前に、転勤でここに来た。
「なんだか分からないような、分かるような話ね」
同じ景色を、違う立場で見ている。
「当時はよそ者感覚だったけど」
「今は住民だもんな」
特別、何かが変わったわけではない。
けど、言葉では言い表せない何かがある。
「だから、不思議なんだよ」
時々、景色を見ながらそんなことを考えていた。
「誰かに聞いて欲しかったのかもね?」
「・・・かもな」
だからと言って、あえて口にしたわけじゃない。
「私もそんなふうに思うようになるのかな?」
彼女も僕ほどではないが、度々ここを訪れている。
言うなれば、かつての僕と同じだ。
「ここの住民になれば、そうなるかもな」
「・・・そうね」
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