[No.850-1]横を向いてばかりで
No.850-1
登場人物
男性=牽引役 女性=相手
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「見て見て!」
彼女が向こう岸に群がるカメを指さす。
「甲羅干ししてるんだよ」
「そうなの!?」
それにしても相変わらずの数だ。
視野を広げれば、あちこちに群れができている。
「ほら、大きな魚も居るよ!」
僕にとっては見慣れた光景だ。
学生時代、この川沿いの道が通学路だったからだ。
「・・・見慣れてるよな?」
彼女も僕と同じ通学路だった。
ただ、学校が違ったせいで、方向は真逆だった。
「見慣れてるような・・・見慣れていないような・・・」
なんとも煮え切らない返事だ。
ただ、よく考えれば彼女の言う通りかもしれない。
カメだの魚だの、騒ぐのは男子だけだろう。
「まぁ、女子向きじゃないのは確かだな」
「でも、さぁ・・・」
今更、反応を示すのも不思議だ。
「大人になって、カメとかが好きになったの?」
「まさか!」
それにしては、そこそこのはしゃぎっぷりだ。
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