[No.848-2]小鳥のさえずり
No.848-2
「それよ!そ、れ!」
勢いで、口から出てしまった。
「・・・なによ、それって?」
急に友人のテンションが下がる。
でも、もう引き下がれない。
「さっき、なに言ったか覚えてる?」
「“恥ずかしいじゃない”とは言ったけど?」
そうじゃない。
一番最初の言葉だ・・・いや、正確には言葉じゃない。
「言葉じゃない?」
「チッ・・・なぞなぞのつもり?」
また、それが出た。
「あなたの悪い癖よ、舌打ちするの」
「・・・」
さらに、テンションが下がっている。
友人とは言え、指摘されるといい気はしないだろう。
「そうなんだ・・・」
「ごめん、全然、気付いてなかった」
ただ、言葉とは裏腹に、申し訳なさそうな雰囲気はない。
逆に、何か吹っ切れているように見える。
「でも、そんなに気になる?」
今度は開き直ろうとしている。
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