[No.845-1]すずめの親子
No.845-1
登場人物
男性=牽引役 女性=相手
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「ちょっと、借りる」
反論する間もなく、食べているカレーパンの一部をもぎ取った。
「おいおい・・・」
理由は明白だ。
僕らの目の前に、すずめが二羽、寄ってきたからだ。
「ほんと馴れ馴れしいよな」
積極的に目を合わせてくる。
そんなハトはよく見かけるが、すずめは珍しい。
「かわいいやん!」
そう言うと、もぎ取ったパンを細かくして、足元に落とした。
当然、彼らがそれを見逃すはずもない。
「・・・あれ?」
「どうした?」
パンを突いているすずめを指さす。
「あれ、見てん・・・」
一羽のすずめが、もう一羽のすずめにパンを口移ししている。
よく見ると、移されているすずめは、体が一回り小さい。
「親子か!?」
そう考えるのが妥当だろう。
さっきから、頻繁に口移ししている。
「せやろな・・・」
「・・・」
急に、彼女のテンションが下がったように感じた。
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