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2018年6月

ホタル通信 No.365

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.345 行く手をさえぎる者
実話度:★★☆☆☆(40%)
語り手:女性

お馴染みのハトの話ですね。決して好きでもないし、好かれてもいませんが、憎めないやつらです。

人物設定はさておき、前半の出来事はほぼ事実です。ハトの群れに行く手をさえぎられ、急ブレーキを掛けました。
時より「ポォポォ」と、独特な鳴き声を出しながら、何事もなかったように、目の前をウロウロする様に怒りよりも笑いをこらえる方が大変でした。
冒頭、好かれてもいない・・・と書きましたが、もしかしたら好かれているのかもしれません。人間には好かれませんが、動物には好かれることが多い私です。

逆に後半は、100%創作です。
以前、ホタル通信で「作者は少なくとも学生ではない」とお伝えしています。今回の人物設定は女子高生ですから、完全な作り話です。
なぜ、女子高生にしたのかは、正直覚えていませんが、イケメン話を絡ませたかったのでしょうね、きっと。

最後に、ラストの一行ですが、意味は分かりますか?何のひねりもない、読んだ通りの内容です。
右手に・・・なので、左肩にハトのフンが落ちていたことにしてみました。イケメンの妄想を一気に覚めさせる目的で。
T365
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[No.850-2]横を向いてばかりで

No.850-2

「正直に言えば、当時・・・」

あまり、川の生き物を見ていなかったと言う。

「あらためて見ると、結構居るんだなぁ・・・と思って」
「・・・まぁ、そうだな」

昔と変わらない光景だ。
もしかすると、昔よりも生き物は増えたかもしれない。

「なかなかワクワクする川だろ?」
「そうね!」

今なら、ある意味“インスタ映え”するかもしれない。
甲羅干しするカメの数は圧巻だ。

「けど、なんで当時は見てなかったの?」

今の姿とは対照的なだけに、つい深掘りしたくなる。

「前を見てたからだよ」
「あっ・・・そ、そうなんだ・・・」

味気ない答えが返ってきた。
当たり前と言うか、面白みに欠けると言うか・・・。

「なのに、あなたは横を向いてばかりで」
「えっ!?どういうこと?」

何だか話が急展開してきた。
彼女の話している内容が理解できない。

「でも、今になってその気持ちが理解できたわ」
「ちょ、ちょっと待てよ・・・何の話?」
S850
(No.850完)
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[No.850-1]横を向いてばかりで

No.850-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「見て見て!」

彼女が向こう岸に群がるカメを指さす。

「甲羅干ししてるんだよ」
「そうなの!?」

それにしても相変わらずの数だ。
視野を広げれば、あちこちに群れができている。

「ほら、大きな魚も居るよ!」

僕にとっては見慣れた光景だ。
学生時代、この川沿いの道が通学路だったからだ。

「・・・見慣れてるよな?」

彼女も僕と同じ通学路だった。
ただ、学校が違ったせいで、方向は真逆だった。

「見慣れてるような・・・見慣れていないような・・・」

なんとも煮え切らない返事だ。
ただ、よく考えれば彼女の言う通りかもしれない。
カメだの魚だの、騒ぐのは男子だけだろう。

「まぁ、女子向きじゃないのは確かだな」
「でも、さぁ・・・」

今更、反応を示すのも不思議だ。

「大人になって、カメとかが好きになったの?」
「まさか!」

それにしては、そこそこのはしゃぎっぷりだ。

(No.850-2へ続く)

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[No.849-2]潮干狩り

No.849-2

「何らかの感情?」

言葉では説明しにくい。

「少なくとも、懐かしさとは違う」

ある意味、何かに“せかさせている”ような感じだ。

「“久しぶりに行ったら?”と、言われているような・・・」

もちろん、オカルト的な要素は一切ない。
ただ、何となく、天の声と言うか・・・。

「世間では、それをオカルトと言うんじゃない?」
「あはは・・・だろうな」

とにかく、誰かに背を押されてここに来てしまった。

「まぁ、大した準備も必要ないし」

唯一、熊手を買ったくらいだ。
2本買っても、1000円で十分お釣りが返ってきた。

「ようやく実現した・・・って感じかな」

実は数年前からそんな気持ちになっていた。
それが今、叶った。

「けど、二人で来ることは想定外だったぞ」
S849
(No.849完)
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[No.849-1]潮干狩り

No.849-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
少なくとも中学生になってからは行った記憶はない。
そう考えると、・・・年ぶりに来たことになる。

「私なんか、一度も来たことがなかったよ」

僕の場合、実家が海に近い。
加えて、小学校の行事にもなっていた。

「そこそこ距離はあったけど」
「歩いて行けない距離ではなかったな」

ワイワイと騒ぎながら歩けば、そのうち着いてしまう。

「私の場合、海は遠かったな・・・」
「・・・だろうな」

彼女の地域は、内陸に位置していた。
僕もそこに住んでいたことがあるからよく分かる。

「それに、そんな季節も短いからね」
「そもそも、やってたのかな?」

あえて調べたこともないから、何とも言えない。

「でも、急にどうしたの?」
「うん・・・なぜだか、妙に行きたくなって」

テレビとかで見掛けたからではない。
何らかの感情が心の底から、沸々とわいてきたからだ。

(No.849-2へ続く)

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ホタル通信 No.364

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.342 気遣い 
実話度:★★★★☆(80%)
語り手:男性

冒頭から言い訳がましいですが、比較的初期の作品ということもあり、プアな内容ですね。

実話度が示す通り、ほぼ実話に基づいているのですが、以前もお話しした通り、当事者同士の目線で書いているため、読者にはピンと来ない内容に仕上がっています。
ザッと整理すると「由佳(ゆか)と会う約束をしたけど、次の日に試験を控えていたので、何となく煮え切らない態度になっていた。
それを察してか、後日、彼女の方から予定変更の連絡が入った」という感じです。

予定変更自体は、珍しくもなかったのですが、タイミングからすれば、余計な気遣いをさせてしまった可能性が大いにあります。
もともと、気遣いができる女性だったので、なおさらそう思っていました。逆に、言わなくても良かったことを言ってしまった、自分に対して、若干、腹立たしくも思えました。
試験の前日にジタバタしても、結果がそう大きく変わることもありませんが、焦りからでしょうか・・・こんな行動を取ってしまいました。

最後に、ラスト一行に触れておきますね。
どうでもいいことですが、僕から由佳への気遣いは・・・見事成功しました。
S364
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[No.848-2]小鳥のさえずり

No.848-2

「それよ!そ、れ!」

勢いで、口から出てしまった。

「・・・なによ、それって?」

急に友人のテンションが下がる。
でも、もう引き下がれない。

「さっき、なに言ったか覚えてる?」
「“恥ずかしいじゃない”とは言ったけど?」

そうじゃない。
一番最初の言葉だ・・・いや、正確には言葉じゃない。

「言葉じゃない?」
「チッ・・・なぞなぞのつもり?」

また、それが出た。

「あなたの悪い癖よ、舌打ちするの」
「・・・」

さらに、テンションが下がっている。
友人とは言え、指摘されるといい気はしないだろう。

「そうなんだ・・・」
「ごめん、全然、気付いてなかった」

ただ、言葉とは裏腹に、申し訳なさそうな雰囲気はない。
逆に、何か吹っ切れているように見える。

「でも、そんなに気になる?」

今度は開き直ろうとしている。

「小鳥のさえずりと思えば、かわいいものでしょ?」
S848
(No.848完)
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[No.848-1]小鳥のさえずり

No.848-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
友人だからこそ言わなくてはならない。
ただ、友人だけに言いづらいのも確かだ。

「ちょっと気になってることがあるんだけど・・・」
「えっ!・・・やっぱり、気付いてた!?」

友人から意外な返事が返ってきた。

「・・・私も、そうじゃないかと思ってたんだ」

それなら話が早い。
今のうちに、サラッと言ってしまおう。

「は・・・」
「ちょっと、太ったんだよね・・・」

友人に発言を遮られてしまった。

「これからの季節、目立つよね?」
「ん・・・いや、まぁ・・・そうね」

話が思わぬ方向に進み始めた。
気になっていることは、それじゃない。

「言ってくれてありがとう!」
「持つべきものは友人ね!」

完全に誤解されている。

「そうじゃなくて・・・」

早めに話を戻した方がいいだろう。

「違うの!?」
「チッ・・・なによ、もう・・・恥ずかしいじゃない!」

その、気になっているものが、たった“今”出た。

(No.848-2へ続く)

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[No.847-2]小さな庭

No.847-2

「憧れるよな・・・」

目の前に、ファンタジー風の小さな庭が見える。
一見すると意味不明な物が、逆にそれらしさを演出する。

「不思議な空間ではあるわね」
「ある意味、僕の理想だな!」

何となくこんな感じが好きなのは知っていた。
芸術的なセンスが彼にはある。

「広々とした庭より・・・」
「狭いくらいがちょうどいいんでしょ?」

私もどちらかというと後者だ。
その点に関しては、彼と意見が合う。

「そう!それそれ!!」

良く言えば、お互い物に囲まれて生活したいタイプだ。
その方が妙に落ち着く。

「お楽しみのところ悪いけど・・・」
「そろそろ行かない?」

お腹がペコペコだ。
そもそも、目的地はここではない。

「ごめん、ごめん!けどさぁ・・・」
「来年は実際にこんな庭で暮らしてみないか?」

S847
(No.847完)
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[No.847-1]小さな庭

No.847-1

登場人物
女性=牽引役  男性=相手
-----------------------------
「楽しみに待ってたんだ!」

いつになく目がキラキラしている。

「そんなにぃ!?」
「だって、すごいだろ!?」

二人ともつい声が大きくなってしまう。
人通りが多い、ショーウィンドウの前だからだ。

「そうなんだろうけど・・・」

個人的には、あまり興味はない。
これよりも普通に、装飾品の方がいい。

「去年も今頃だよな?」

デパートらしく、毎月、ショーウィンドウの内容が変わる。
初夏には、これが登場することが多い。

「去年は5月だったよ」
「なんだよ、結構、気にしてるじゃん!」

去年もこの調子だった。
これだけ騒がれると、その気がなくても記憶に残る。

「ふぅ~・・・まぁ、いいわ・・・」

大したことでもない。
しばらく彼に付き合ってみることにした。

(No.847-2へ続く)

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ホタル通信 No.363

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.349 眼鏡で背伸び
実話度:★★★★☆(80%)
語り手:男性

実話度が高い割には、全体的にギクシャクしています。上手に事実を小説化できていません。

事実だけで小説が成立する時もあれば、かなり脚色しなければならない時もあります。経験上、前者の場合が多く、実話度が高い小説は書き上げるのにそんなに苦労はしません。ただ、時より小説化しにくい“事実”があり、ほぼそのまま再現すると何がなんだかよく分からない小説が完成します。
今回の小説もこれに該当します。事実とは言え、そもそもインパクトが弱い題材を取り上げたため、ギクシャクしているというより「どうでもいい」ような内容に仕上がってしまいました。

もちろん、当ブログは日常と言う、至って普通で、どうでもいいようなネタを小説風にしています。ですから、その趣旨には沿ってはいますが、前述した通り、テーマが弱すぎました。
脚色すればよかったのですが、脚色するネタも余り思い付かずこんな感じに仕上がってしまいました。テーマが弱い分、アチコチで、説明調の文章が見られます。

ほぼ実話なので、買い替えの目的も小説の通りです。少しでも那央(なお)に良いところを見せようとして、アダルトな雰囲気が漂う眼鏡を購入しました。
T368
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[No.846-2]即・既読

No.846-2

ある男性のLINEを開いていた。
もちろん、ちゃんとした理由はある。

「好きだから?」
「ち、違うわよ!」

嘘じゃない。
好意はあっても、恋愛上の“好き”という感情ではない。

「まぁいいわ、続けて」
「以前、写真が送られて来てたのを思い出して・・・」

その写真が必要になった。
だから、彼のLINEを開いていた。

「そしたら、彼からLINEが来ちゃって」
「それって、もしかして・・・」

もしかしなくても、“即既読”というやつだ。

「LINEのやり取りの最中なら“あり”なんだろうけど」

それ以外なら、たまたまとは言え、誤解を招きかねない。

「狙ってた?」
「ま、まさか!」

それに関しては、完全に否定できる。

「で、彼の反応は?」
「・・・今までとなにも変わらない」

実は、こっちの方が、もっと恥ずかしかった。
S846
(No.846完)
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[No.846-1]即・既読

No.846-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
以前、ある動画を見た。
その内容が、今、目の前で起きてしまった。

「ちょっと聞いてくれる!?」
「め、珍しいわね!?あなたの方からなんて」

いつもとは逆の立場だ。

「今思い出すだけでも恥ずかしい・・・」
「えっ・・・何したのよ?」

行為自体は、非常に小さい。
何かをした・・・というには程遠いほど、ささいなことだ。

「以前、LINEの“あるある動画”の話をしたじゃん?」
「あぁ・・・あの面白かったやつね」

LINEにまつわる“あるある”を再現した動画だった。

「女の子の演技が良かったよね~!」
「表情なんて最高・・・・って、おい!」

勢いで、ノリつっこみをしてしまった。

「もぉ!話が違う方向に行っちゃうじゃない・・・」
「・・・で、その“あるある”が実際に起きちゃって」

もちろん、“あるある”だけに、誰にでも起きる可能性はあった。
けど、実際起きて見ると、その恥ずかしさたるもの・・・。

「結局、何が起きたって言うの?」
「・・・たまたま・・・ね」

(No.846-2へ続く)

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[No.845-2]すずめの親子

No.845-2

「ごめん・・・もしかして思い出させてしまった?」
「うん・・・ちょっとだけやけど」

彼女にとっての“親子”は、ある意味、タブーだ。
過去の嫌な記憶を思い出させてしまう。

「目の前で、こんなに仲良くされたらなぁ・・・」

すずめには罪はないが、想定外の展開になってしまった。

「それが普通やろ?それでええねん!」

彼女の純粋な言葉だろう。

「・・・だよな!」

つい、強い口調で返事をしてしまった。

「いつまでも仲良くするんやで!」

いずれ、子離れ親離れする日は来る。
知っていても、そう言わずにはいられなかったのだろう。

「・・・だな」

中途半端な返事になった。
でも、僕も彼女と同じ気持ちだ。

「お腹いっぱいになったやろか?」
「そりゃ、なっただろ?」

少し嫌味っぽく言った。
少ないながらも、カレーパンの一部を失ったわけだから・・・。

「じゃあ、借りた分、返すわ・・・ほいっ!」

彼女のカレーパンをちぎって、僕の口の中に押し込んだ。
さすがに口移しとは行かなかったが。
S845
(No.845完)
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[No.845-1]すずめの親子

No.845-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「ちょっと、借りる」

反論する間もなく、食べているカレーパンの一部をもぎ取った。

「おいおい・・・」

理由は明白だ。
僕らの目の前に、すずめが二羽、寄ってきたからだ。

「ほんと馴れ馴れしいよな」

積極的に目を合わせてくる。
そんなハトはよく見かけるが、すずめは珍しい。

「かわいいやん!」

そう言うと、もぎ取ったパンを細かくして、足元に落とした。
当然、彼らがそれを見逃すはずもない。

「・・・あれ?」
「どうした?」

パンを突いているすずめを指さす。

「あれ、見てん・・・」

一羽のすずめが、もう一羽のすずめにパンを口移ししている。
よく見ると、移されているすずめは、体が一回り小さい。

「親子か!?」

そう考えるのが妥当だろう。
さっきから、頻繁に口移ししている。

「せやろな・・・」
「・・・」

急に、彼女のテンションが下がったように感じた。

(No.845-2へ続く)

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