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[No.841-2]夢の河

No.841-2

「でも、急にどないしたん?」

自分でもよく分からない。
何かを思い付いたように、勝手に口から出てしまった。

「う、うん・・・」
「せやったら、あなたの夢は?」

雰囲気を察してか、逆に質問されてしまった。

「僕の!?」
「うちに聞くくらいやから、あるんやろ?」

もちろん、無いわけではない。
ただ、僕も彼女とどこか似ている答えだ。

「大企業がいいな」
「・・・うちと変わらへんやん!」
「だな・・・」

僕らの境遇は似ている。
夢を語るより、現実しか見ていない。
いや・・・正しくは現実しか見えない。

「それ、夢ちゃうやん!」
「仕方ないだろ?」

この後、二人して大笑いした。

今でも、時々、頭をよぎることがある。

「・・・渡れたのかな?夢の河を」

振り返り、人混みの中に彼女の姿を探した。

(No.841完)
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