[No.839-2]永い話
No.839-2
「今は、出張に行く前に下調べしたりして」
「あはは!どっちがメインなの?って感じね」
自分自身へのご褒美だとは言った。
でも、見方を変えば・・・。
「そうでもしなければ“やってられない”から?」
「だな!」
彼が笑顔で応えてくれた。
「だから、意地でも観光してやるぞ!って」
「とにかく、手ぶらで帰るのだけは避けたくて・・・」
形があるお土産のことを言ってるのではないだろう。
「ところで、君は?」
「・・・私?」
気付けば、彼の話の聞き役になっていた。
「私も・・・同じようなものね」
行って帰るだけの出張に嫌気がさしていた。
「色んな所に少し余裕ができてきたんだ」
だから、スイーツが話題の店に、並んでいる。
「でも、ちょっと場違いかな・・・」
スーツ姿の私たちは浮いた存在だ。
「でも、話しかけて良かったよ」
「なんとなく、同じ匂いがしたんでさぁ・・・」
私に続いて、彼が列に並んだ。
そして、見ず知らず通しの会話が始まった。
(No.839完)
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